#映画レビュー
前作が子供向けを意識してしまった上に、いろいろ社会的な課題指摘も詰め込みすぎていて消化不良だったことを考えると、本作でストーリーをシンプルにしたことは大いに評価できる。子役の使い方も妥当で、あくまで内容は大人に向けたものになっていた。変に…
この作品の見どころは、自己流で下手くそなのに自分は名歌手と信じて疑わない金持ちマダムの役をメリル・ストリープが見事に演じているところ。ボケた天然老女という設定に、完璧になりきっている。単に表情や台詞回しというだけではなく、メイクや衣装など…
「ハン・ソロ」はスターウォーズのアナザー・ストーリーだが、ローグワンとは異なり、スターウォーズの登場人物の前日譚として位置づけられている。スターウォーズ好きにとっては、何よりもチューバッカとハン・ソロの出会いが描かれるところがうれしい。全…
エピソード9はあえて劇場では見ずに、配信を待っていた。この作品で長い叙事詩に幕が落とされたのだが、結局フォースとダークサイドは単純に1か0かという話ではないということだった。人間は誰しも、いわゆる「善」と「悪」の両面を持っている。タイミン…
スパイダーマンの魅力は、近所にいる普通の男がヒーローになるという設定なのだが、この作品を見てもうひとつの面白さを発見した。それは、それなりにではあるが科学に沿った展開をしているところだ。スタテン島行きのフェリーが割れるシーンでは、スパイダ…
米国の薬物依存症問題に鋭く切り込んだこの作品では、ジュリア・ロバーツとルーカス・ヘッジズが演じる母子の愛情が痛々しいほどに描かれる。ジュリアの演技も見応えがあるが、薬物依存症に何度も引き戻されながらも家族への思いを募らせるルーカスの演技に…
4年前に録画したまま放置していた「博士と彼女のセオリー」を、外出自粛の土曜日にようやく見た。この作品はスティーブン・ホーキングの元妻であるジェーンの回顧録を映画化したもので、そのせいかクライマックスに彼らの離婚が描かれるものの、非常にあっ…
Googleを思わせるネーミングの「ザ・サークル」というIT企業を舞台に、個人のすべての情報やアクティビティを統合して交流するSNSビジネスの是非をシリアスかつシニカルに見せてくれる作品。目先の利便性に目がくらんで、プライバシーの価値を置き去りにして…
アムステルダムからパリに向かう特急タリスで実際に起こった銃乱射事件を題材にした映画で、クリント・イーストウッドが監督を務めた作品。アメリカ人の2人の軍人アレクとスペンサー、そして彼らの友人で大学生のアンソニーは、それぞれ本人が演じている。…
WOWOWの放送を録画して、しばらく放置していたファンタビの第2作。前作は新たな設定で展開するハリー・ポッター的な世界観が心地よかったが、本作はハリー・ポッターとの関連性を強めることでテコ入れしようとした印象が強く、ストーリーは散漫になってしま…
ブレイキング・バッドの続編としてヴィンス・ギリガンが監督を務めた映画作品「エル・カミーノ」は、アーロン・ポール演じるジェシーのその後を描く。正確に言うと、ブレイキング・バッドの中で描かれなかった部分を補いながら、最終回直後のシーンにつなげ…
映画館で3時間はなかなか辛いので、WOWOWでの放送を待っていた。正直なところマーベルやアベンジャーズに思い入れがあるわけでもなく、過去の作品もちゃんと見たものはあまりない。序盤は誰が誰だかわからなかったし、コンテキストも何もない中でストーリー…
最近やたら噂になっていたので、気になって映画「ジョーカー」を見た。ストーリーの作り込みは完璧で、ところどころ必然性を疑う展開はあるものの、無駄なプロットはほぼない。ホアキン・フェニックスの鬼気迫る演技も素晴らしく、映画としての完成度は十分…
この週末は特にすることがないと思っていたところに、インスタで大学の先輩から素敵な情報をいただき、渋谷のユーロスペースでドキュメンタリー映画「アートのお値段」を。資産としての視点からアートを捉えた内容だが、ごく一部のコレクターによるマネーの…
<ネタバレあり> 上海からのJAL帰国便で見た「リリーのすべて」。原題の"The Danish Girl"では明確だが、これは性自認のずれに気づいた画家の男性が性転換手術を受け、そのことが影響して命を落としてしまうストーリーだ。ダイバーシティの観点から興味があ…
Lady GaGa主演の映画「アリー スター誕生」は、アマチュアシンガーが人気ミュージシャンに見出されるシンデレラストーリーの体裁で、時代あるいは世代の交代をシビアに描く作品です。スターが誕生する一方で、老いてピークアウトしたスターが消えてゆく。オ…
これは「ボヘミアン・ラプソディ」という曲の物語ではなく、フレディ・マーキュリーという「ボヘミアン」の狂詩曲だ。同名曲の詞が彼の行方を暗示していたかのような符合を追うように、テンポよくストーリーが展開する。クイーンのメンバーを演じる4人は皆…
Facebookの情報で知ったこの映画を、日比谷のシャンテで鑑賞してきました。ヴィム・ヴェンダーズは製作総指揮という立場なので「続編」とも言い難いですが、オリジナルのドキュメンタリーも劇場で見たし、ブエナビスタのアルバムは今でもよく聴きます。そし…
スターウォーズ本編は「フォースの覚醒」も「最後のジェダイ」も劇場で見たのですが、スピンオフ作品のローグワンは見ていませんでした。WOWOWを録画したのに、時間が長いこともあってなかなか見る機会がなかったのです。年末の休みに入ったので、今日はつい…
待ちに待ったスターウォーズⅧ「最後のジェダイ」を、浦和のユナイテッドシネマで鑑賞した。ジョン・ウィリアムスの最初の和音は決して耳に心地よくはないが、あの音ですべてのストーリーが蘇り、作品への期待が最大化する。デジタル音楽全盛の時代に、これだ…
ヒューマントラストシネマ有楽町で、フランスのグラフィックノベル原作を映画化した「ポリーナ、私を踊る」を鑑賞しました。これはバレエ映画というよりは、自己実現の物語。モスクワの少女ポリーナが、ボリショイを辞めてフランスのエクス・アン・プロヴァ…
この作品「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」はもっと子ども向きに仕立ててあるかと思いきや、ハリーポッター同様に細部に凝ったJ.K.ローリングらしい展開でした。原作を読んでいればもっと楽しめるのでしょうが、映画ではどうしてもダイジェス…
ストーリー展開は予想を裏切らないし、仕立てもいかにもという感じでどこかで見たようなディズニー映画なのですが、それでも楽しめてしまうのはさすがの一言です。ポリネシアンの描き方もステロタイプながら、海に対する畏怖や敬意がわかりやすく、ダイバー…
事前の情報で「それほどミュージカル一辺倒ではない」とは聞いていたものの、これほどクセのある作品だとは思っていなかった。冒頭のLAの高速道路でのミュージカルシーンがプロモーション動画で印象に残っているが、あの場面で感じた「お気楽なでハッピーな…
サレンバーガー機長は「ヒーロー」という印象だが、この映画では「アンチヒーロー」との境目をさまよった様子がドキュメンタリータッチで描かれる。あの飛行機は、果たして空港に降りるという選択肢を取ることが可能だったのだろうか。ラガーディアもJFKもニ…
台北から成田に向かうJALの機内で見た「キングコング:髑髏島の巨神」は、いろいろなことを詰め込み過ぎて焦点がぼけてしまった印象だった。そもそも、エピローグとして描かれる日本兵と米兵の戦いからして極めてステロタイプで、サミュエル・L・ジャクソン…
「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」を見た第一印象は、このシリーズはこんなにコメディタッチだっただろうかということだった。イーサン・ハントの仲間たちが一流スパイというより街のチンピラ仲間という雰囲気だったことは、トム・クルーズ…
映画「オデッセイ」は原題が"The Martian"なので、そのまま訳せば「火星人」。さすがにそれでは違和感満点になってしまうので、邦題をつけたくなる気持ちはよくわかります。ほぼマット・デイモンの一人芝居のような内容ですが、それで141分を緊張感を保ちな…
僕が一番好きな俳優であるトム・ハンクスの主演作ということで期待していたのですが、もっとスパイ色に強いアクションものかと思っていました。なので、序盤が妙に静的な展開だったことで、少し拍子抜けしていたくらいです。しかし、ハンクス演じる弁護士ジ…
スターチャンネルで見た「ウェイトレス~おいしい人生のつくり方」は単純なコメディかと思いきや、恋愛や家庭内暴力など結構骨太なテーマを描いています。コメディ色が漂っているのは、ウェイトレスのトリオが絡むシーンのインパクトがあるからでしょうね。 …