【映画】ラ・ラ・ランド

事前の情報で「それほどミュージカル一辺倒ではない」とは聞いていたものの、これほどクセのある作品だとは思っていなかった。冒頭のLAの高速道路でのミュージカルシーンがプロモーション動画で印象に残っているが、あの場面で感じた「お気楽なでハッピーな映画」ではないことは明らかだ。

ミュージシャンを目指すライアン・ゴズリングと女優志望のエマ・ストーンは、どちらも自我が強いタイプ。特にゴズリング演じるセバスチャンのアクの強さのせいで、最後まで感情移入できないままに終わってしまった感がある。脇を固めるJKシモンズやジョン・レジェンドなどキャスティングにはこだわり抜いているし、撮影のアングルやカット割りなどにも凝っていて、アカデミー賞でのノミネートの多さにはうなずける。しかし、この映画に満足感があるかと言われれば、そうではないということだ。

何が問題なのかは人にとって感じ方が違うとは思うのだが、僕に言わせれば脚本というよりストーリーの起伏のなさではないだろうか。観る者の感情に訴えるシーンが少なく、その乏しさをミュージカルで補ったのではないかと感じるほどだった。ゴズリングの演奏シーンにもリアリティがあり、映像としての完成度は高い。ただ、それだけにストーリーの盛り上がりのなさが目に付いてしまった。