【TOKYO 2020】野球/日本―米国

こんな展開は、誰にも予想できなかっただろう。もちろん、期待はしていた。田中将大が連打で3失点したところから、もつれることは想定内だった。田中は余計なことを考えすぎている印象でコントロールも定まっていなかったのだから、もう少し早めに見切りをつけてあげるべきだった。キャッチャーとの相性が悪かったのかもしれない。

9回裏に泥臭く追いついて迎えた延長タイブレーク。栗林が最初のバッターを三振に取ったことで、大きく優位に立った。日本は栗原を代打に送ってまでバントで進塁させ、甲斐に託す。メジャーリーガーのいない米国だったが、だからこそ変則シフトが可能だったのではないか。それまでも村上に極端な内野守備をしてきたが、甲斐に対しては外野手にグローブを交換させてまで内野に5人を配置。おそらくは、ドミニカ共和国戦で甲斐が見せたスクイズを意識していたのだろう。しかし、外野に飛ばせばほぼフライアウトは無理という状況は、バッターを楽にしてしまったようにも思う。

変則的なトーナメントだが、次は韓国。場合によっては韓国と2回戦うということも十分にあり得る。打撃陣はそれなりに計算できそうなので、投手の起用がカギになりそうだ。よい投球内容だった千賀や山崎、栗林らにはしっかり準備してもらい、少し長めのリリーフも想定しておくべきだろう。

【TOKYO 2020】男子バスケ/日本―アルゼンチン

アウトサイドの決定力が違い過ぎた。ゲームの立ち上がりにまったく流れをつかめなかったのは、アルゼンチンが3本の3Pを立て続けに決め一方でミスを繰り返したことが要因だ。1Qで10点差がついてしまうと、戦術的にもかなり厳しいものになってしまう。確かにアルゼンチンは格上だし、1勝がとてつもなく難しいグループに入ってしまったのは事実ではあるが、もう少し競った内容で楽しませてもらいたかった。

日本のサイトではなかなかボックススコアが見つからなかったのでFIBAのサイトを見たのだが、3Pを比較すると日本が6/26に対してアルゼンチンは14/36。決定力にも差があるが、その影響もあってかアテンプトでも10の開きがある。この3Pのポイント差だけで8×3=24なので、試合結果にそのままつながったと見てよいだろう。スコラとカンパッソが5つずつ3Pを決めて50%を超える決定率だが、日本では2/6の馬場しか複数決めた選手はいない。もちろんアルゼンチンのディフェンスや日本の戦術にもよるのだが、かつてbjリーグを見ていた経験からも、この差は歴然としているように思う。

アルゼンチンのスコラは41歳。2006年の世界バスケでも来日しており、ジノビリやノシオーニ、デルフィーノらとともに素晴らしいプレーを見せてくれた選手だ。当時に比べるとアルゼンチンは堅実なチームになってしまった印象があるが、準々決勝には残ったのでまだまだ楽しませてもらいたいところだ。

【TOKYO 2020】男子サッカー/日本―ニュージーランド

PK戦にもつれこんだら危ないと思っていた。ニュージーランドのGKバウドの反応は素晴らしかったし、安定感もあった。そして実際にPK戦が始まり、1人目のウッドが余裕で決める。このときの谷は早く動いてしまっていたので、僕の中での勝てそうな気が一層失われていた。日本の1人目、上田の表情は硬かったのだが、結果的には落ち着いたキックを成功させる。ニュージーランドの2人目のときに谷は落ち着きを取り戻しており、見事にセーブ。板倉はGKを先に動かす巧みなフェイントで決める。これが精神的にニュージーランドを追い詰めたのではないだろうか。

ルイスは狙いすぎたのか上に外す。ここでも谷がキッカーにプレッシャーをかけ続けていて、ベテランのような狡猾さがあった。中山が冷静にコースを狙って決め、最後は吉田麻也が成功させて、久保も三苫も使わないままにPK戦を勝ち抜いた。90分、あるいは120分の中で勝ち切れなかったことは残念ではあるが、このPK戦の勝利は彼らに大きな財産となったはずだ。その意味では貴重な経験であり、貴重な勝利だった。

次はスペイン。強化試合ではドローに終わっているが、互角以上の戦,いだった。準々決勝でもコートジボワール相手に薄氷の勝利だっただけに、日本の勝機は十分にある。ここで勝つことができれば、決勝はブラジルかメキシコ。個人的には、メキシコとの再戦の可能性が高いのではないかと思う。堂安と久保は明らかに疲労が溜まっている。南アフリカ戦と同じような角度から放ったシュートが枠を捉えなかったのは、腰をしっかり回し切ることができなかったからだ。中2日での連戦でどこまで回復できるか。できないのであれば、ジョーカーとして起用することも選択肢だ。

【TOKYO 2020】女子サッカー/日本―スウェーデン

高さのあるスウェーデン相手にゴールを奪うには、サイドからGKとDFの間にアーリークロスを入れるかショートパスで幻惑して中央突破するしかないと思っていた。その前者の形は長谷川唯から田中美南という元ベレーザ・コネクションで実現されたので、終盤に追い上げる上で後者の選択をするのは当然だ。中盤の守備力のある選手を交代起用したことで高倉監督を批判する声は上がるだろうが、前線は田中と岩渕がベストで終盤まで動けていたのだから、北村も林も妥当な交代だった。

僕は、もっと何もできないままに敗退してしまう懸念を感じていたのだが、そんなことはなかった。ポゼッションで上回り、試合を支配してチャンスを何度も作り出していた。2点目はオフサイドを取っていてもおかしくないプレーだったし、三浦のハンドはアンラッキーと言うしかない。それよりも、前半に1枚イエローをもらっていた三浦がこのプレーで退場しなかったことがラッキーだったともいえるだろう。

この大会で、今後の強化の方向性ははっきりした。とにかく前線で張れるFWの発掘は急務だし、守れる左サイドバックも必要だろう。後は今大会で若い選手が何かをつかんでいてくれれば、あるいは目指すものをみつけていてくれればそれでよい。監督は代えた方がよいかもしれない。ひとつの色に長く染まってしまうと、違う色の原石が輝く場を失ってしまうからだ。田中美南は高倉監督に評価されない時代を経ての、今大会での活躍だった。きっかけを作るために、監督を代えるのは有力な選択肢なのだ。

【TOKYO 2020】男子サッカー/日本―フランス

金メダル候補とか強豪とか呼ばれていたのは、国としてのブランドイメージだったのか。試合の結果だけではなく、内容もからもそんな印象しか受けなかった。相手が日本でなければフランスを応援するような僕なのだが、インテリジェンスの感じられないプレーの繰り返しにがっかりしてしまったのが率直なところだ。もしかしたら、すべては「驕り」から来ているのかもしれない。

日本は強かった。主審の判定は、ややフランス寄りだったようにも見えたが、それでもまったく危なげなく勝ってしまったところが素晴らしい。酒井の右サイドの安定感は傑出していて、イエローの影響で橋岡と交代すると、あらためて酒井が担っていた役割の大きさに気づかされた。田中碧のセンスも素晴らしかったが、ことごとにファウルを取られてしまったことは非常に残念だ。

久保が試合後のインタビューで「あと3試合は一発勝負」と、決勝に行く気満々の発言をしていたが、おそらくチームもスタッフも全員がそう考えているのだろう。ピークをどこに持ってくるかは悩ましいところだが、個人的には準決勝が妥当なのではないかと考える。ロンドン以上の結果につながることを期待して…

【TOKYO 2020】テニス男子シングルス/錦織圭―ギロン

ミスをしてくれない相手に、錦織の我慢が続く展開だった。ミスをしないので、無理に仕掛けることを抑え、丁寧なストロークで流れを逃さないようにしていた錦織が印象的だった。大坂なおみがボンドロウソバに敗れて姿を消してしまっただけに、同じ日に錦織までもが敗退する状況は本人も陣営も避けたかったはずだ。

もともとフルセットマッチの勝率が高い錦織は、この状況にもメンタル的には持ちこたえることができる。ファーストセットをタイブレークで取っていたことが大きいが、セカンドセットで早々にブレークを許しながらも、虎視眈々と相手の綻びを待っていた。そして迎えたファイナルセットでは、明らかに落ちてきたギロンのペースを見逃さず、少しだけギアを上げる。一気に勝負を賭けたという印象はないが、明らかにそれまでのプレーとは違っていたのだ。

次の相手はイワシュカ。ここで勝てば、準々決勝の相手はおそらくジョコビッチだ。今の状態を比較した限りでは勝てそうもない相手だが、世間的に無名の相手に負けるよりはオリンピックで王者に挑む場面を見せてもらった方が、こちらとしてはうれしい。錦織はダブルスも残っているし、柴原瑛菜とマクラクラン勉のミックスダブルスも楽しみだ。

【TOKYO 2020】女子サッカー/日本―チリ

シュートを外す練習をしているかのような前半だった。なでしこJAPANは、彼女たちらしいていねいなパスワークでチリの守備を崩すが、フィニッシュがとにかく決まらない。裏のスペースがなく、連戦と雨で速攻の効果も限られる中、高さのないなでしこJAPANがゴールを奪う道のりは果てしなく長いようにも感じられた。その意味では、ハーフタイムに菅澤を下げ、カナダ戦でのPK失敗を挽回したい思いの強いであろう田中美南を投入したことは納得できた。

もうひとつ、この日のポイントはホンジュラス人のボルハス主審。ホンジュラスCONCACAF(北中米カリブ海連盟)なので、チリが属するCONMEBOL(南米連盟)とは異なるが、同じ旧スペイン領ということでは疑義のあるキャスティングだ。ただ、問題なのはそこではなく、彼女のスキルが極めて低いこと。ちょっとした身体接触で笛を吹き、チリ選手のオーバーリアクションにも反応してしまう。これで流れに乗れなかったところは、少なからずあるだろう。チリにしてみれば、70分のクロスバーに当たってゴールインしたようにも見えた場面を十分に確認しなかったことが不満だろうが、ビデオで見てもゴールラインをボールが完全には越えていなかったので、ノーゴールは明らかだ。

ゴールの場面は、岩渕のポストプレーから田中が狭いスペースに侵入して右足を振り抜いたもので、田中らしさが十分に表現されたゴールだった。ここまで出場していなかった宝田の起用は、僕には想定内。南との間に大きな差があるとは思えないので、グループリーグのどこかでは使ってくるだろうと思っていた。木下の交代投入は意外だったが、仕掛けという面でしっかり起用に応えるプレーを見せてくれた。次のスウェーデン戦では、塩越の高さも必要になるだろう。ここからの巻き返しに期待したい。