渋谷パルコの近くにあるマンハッタンレコードは、シャッターと壁面にアートが描かれています。前回の書き換えから半年くらい経つので、そろそろかと期待していたら、書き換わっているのを発見しました。今回は、クリス・ブラウンをモチーフにしたTABOO1によるアート。商業的とはいえ、雰囲気のある上質な作品です。
【映画】ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス
マルチバースというキーワードでMCU作品を作るのは、好きではない。都合のいいように展開して、すっきりしないまま終わってしまうからだ。絶対的な善や正義というものは存在せず、ある価値観の正義は異なる価値観においては悪になってしまう。それは、MCUの根底に流れる考え方で、サノスの思想にも一理あると感じている人は僕の周りにも少なくない。その相対性のバランスが異なる宇宙が存在し、その結果としてそれぞれに結果としての状況が異なるという視点はダイバーシティ&インクルージョンの根本に通じるので、その点は否定しない。
ドクター・ストレンジの英国~中国的な世界観に加えて、ワンダの要素が入ってくることを期待していたのだが、アメリカ・チャベスの登場によってヒスパニックが強まってしまった。ここでいう「アメリカ」とは、合衆国のことではなく「南北アメリカ大陸」の意味だろう。外資系企業のエリア戦略では、南北アメリカを総称して「Americas」を使うことが多いが、この新しいヒーローもおそらくその意味のアメリカなのだと思う。民族多様性を意識するのはよいが、最近のMCUはさすがにやり過ぎで、ミズ・マーベル同様にアイデンティティが伝わらないまま物語が進行してしまっている。
また、ロンドンが拠点のひとつということもあってキャプテン・カーターが登場するのはまだよいとして、マリア・ランボーのキャプテン・マーベルやブラックボルトには無理がある。他作品に誘導しようとするマーベルの商魂が見え見えで、ちょっと残念だ。本来の世界観を逸脱してしまうと、そもそものコアな顧客基盤を失ってしまう。そのインパクトを甘く見ると、おそらく痛い目を見ることになるはずだ。
【熊本―大分】執念の守備
前節の栃木戦ではロスタイムの失点で勝利を逃しているだけに、大分の終盤の守備は異常なほどに集中していた。攻撃することすら忘れたような印象で、とにかく守り切ることで前節の悔しさを乗り越えようという執念だったのではないだろうか。もう一点取りに行ってもよい展開だったが、これはこれで位置づけとしてはアリだと思うし、狙って守り切ったのだから大いに評価したい。
先制点を挙げた場面の中川はポジショニングが素晴らしかったのだが、相変わらず動き過ぎていることは気になった。中川が動くことも影響して弓場が左サイドに流れる場面が多くなり、結果的に真ん中の守備の枚数が不足する。失点の場面でも、その影響がなかったとは言い切れないように思う。坂はがんばってセンターを固めてはいたのだが、相手のセンターフォワードにつく形だったので、前に引き出されていたようにも見えた。これはチームの決め事だろうから、坂の問題というよりは守備のフォーメーションの問題だ。
それにしても、負傷者が続くのは痛い。羽田とペレイラについては公式に離脱が発表されたが、今日も足が吊って渡邉が交代し、三竿も前線にポジションを移した。DFのサブは小出しかいない状況なので、これ以上離脱してしまうと崩壊する。夏の移籍ウィンドウでは、何とかセンターバック要員を獲得してもらわないことには、この先の戦いは不可能だろう。
【Disney+】オビ=ワン・ケノービ E6
ダース・ベイダーもオビ=ワン・ケノービも、スターウォーズ正史を知っていればこのスピンオフの中で死んでしまうことがないのはわかっているし、それはルークやレイアにしても同じ。だから、この中途半端な決着のつけ方は必然ではあるのだが、何となくすっきりしない思いは拭えない。戦いのシーンについても、言いたいことはある。スターウォーズの戦いは、やはりライトセーバーであって欲しい。このシリーズにおいては、それが武道のルールのようなもので、どれほどマンネリになってしまったとしても避けてはいけない部分だと思うのだ。
ボバ・フェットでは低予算感を感じなかったことに比べ、惑星で暮らす民族たちの描写が極端に少ないことに物足りなさを感じていた。スターウォーズに期待しているのは、物語それ自体よりもこの宇宙の世界観。ダイバーシティ&インクルージョンを体現する他民族間の交流こそに、ロマンを感じるのだ。そこを描かずに、デジタル処理を駆使した戦いを見せられても、それは少なくとも僕が求めるものではなかった。
ただ、そうは言ってもレイアの成長をうまく描き、キャラクターの魅力に一味加えた貢献は評価したい。ルークは影が薄かったが、6話の中で何を描くかという点で、しっかり集中と選択をしてくれたことが、結果的に無駄のない展開につながったのだろう。まだまだ終わらないスターウォーズの物語に、今後も期待しないわけにはいかない。
【天皇杯3回戦】大分―G大阪
僕がフットサルをやる際に、守備の局面でうまいチームメイトによく言われるのが「飛び込むな。遅らせろ」ということ。素人はついボールに向かって足を出したくなるのだが、それをせずに待つことで他の選手が守備に戻る時間を作ることが大事なのだ。天皇杯3回戦の大分は、呉屋のPKで先制した後、まさにこのミスの連発で逆転を食らってしまった。
GK西川の前に出るプレーは、彼の特徴であることは間違いなく、おそらく監督からも出ることが求められているのだろう。しかし、ルヴァンカップでの惨状から、あまり成長しているようには見えない。前に出てコースを切る、あわよくば奪うことを選択すれば、それだけリスクも大きくなる。出る出ないの判断が磨かれなければ、それはただの冒険でしかなく、同じプレーを見せられ続けていると、いい加減にしろと言いたくもなってしまう。迷ったときに「出る」という選択しかできていないように見えるが、それは「特徴」であっても「特長」にはならない。
そして、このゲームでは、西川だけでなく伊東までもが同じ轍を踏んでしまう。サイドバックが本職なので、普段ならギャンブルに出るという選択はなくもないのだが、3バックの右に入ったことを考えれば、もう少しリスクヘッジをするべきだった。ビルドアップにおいては、弓場と保田がしっかりリスクを負いながらも前を向く選択をしていたことが頼もしかった。このあたりのバランスを、もっとチーム全体で共有すべきだと思うし、それを植え付けることが監督の役割だと思うのだ。