【映画】ANNA/アナ

シナリオはいかにもフィクションだし、アクションだってどう見ても不自然に主人公が強い。それでもこの展開の見せ方には、つい引きずり込まれてしまう。とにかく緊張感があるのだ。次のシーンへの期待感を徐々に、しかし確実に高めて裏切らない方向に物語を進めてゆく撮り方は、さすがにリュック・ベッソン監督ということだろう。

役者の演技も通好みだが、特に主演のサッシャ・ルスとその黒幕的な位置づけのオルガを演じるヘレン・ミレンの、かなり「すれた」というか世間の常識に迎合しないスタイルを表情や台詞回しで見せるところに見応えがあった。それに比べると、男優陣の演技は「あくまで添え物」というテイストが感じられて、それもまた作品のスパイスになっている。製作が米国とフランスというあたりが、いかにもそれらしいと言える。

リュック・ベッソン作品としてはニキータやルーシーの系譜にある作品だが、そんな中でも華やかな部分に生々しくヴィヴィッドな感覚を盛り込んでいる。パリの街も、リアリティが感じられないくらい作りこまれた設定になっているので、異次元にでも旅しているかのようだ。スパイものは非現実感が味わえるから好きなのだが、まさにその感覚を楽しめる作品だ。

【大分―鳥栖】後味の悪いドロー

敗色濃厚の展開から、途中出場の長沢がいかにも彼らしいピンポイントのヘッドを叩き込んで追いつく。このまま終わっていれば、価値ある勝ち点1という評価ができたのかもしれない。しかし、その直後にペナルティエリアで藤本が倒されてPKを獲得するも、前回の伊佐同様にこれを決められず、朴一圭に完璧に読まれてしまった。終わってみれば、実に後味の悪いドローになってしまった。

伊佐にしても藤本にしても、キックの精度が高い選手ではない。それなのにキッカーを務めたということは、「PKを獲得した選手」あるいは「蹴るという意思表示をした選手」にキッカーを任せるルールもしくは慣行があるのだろう。しかし、今の大分の状況で勝ち点を積むことは重要なのだから、より精度の高い選手に蹴らせるべきではないか。それは町田かもしれないし、下田かもしれない。もちろん、長沢ということも考えられる。サポーターが掲げた横断幕の「泥臭くてもよいから今は勝利を」という趣旨のメッセージを、クラブはどう受け止めているのだろうか。

それにしても、サブに控える選手には長沢以外に名前から感じられる期待感がない。野村の離脱は大きいが、ここ数シーズンの補強が「控えも含めて、まんべんなく穴を作らない」形になっており、柱になる選手がいないことが気になる。ここぞというときに決められる、もしくは相手に威圧感を与える選手。そして、チームの雰囲気を盛り上げるリーダーだ。どちらも、今の大分には見られないのだ。まじめな選手を集めて3-4-2-1のシステムにはめ込むだけでは、状況を改善するパワーは生み出せないように思う。

【BNLイタリア国際】錦織3回戦へ

試合開始予定時刻が迫った時間帯にカレーニョ・ブスタの棄権が発表され、錦織圭は前日のフォニーニ戦からの連戦を避けて3回戦に進出することができた。クレーコートの負担もありそうなので、ここで日程が空いたのは歓迎だったことだろう。フォニーニとの一戦は、序盤からフォニーニがいつものようにモチベーションが上がらないような表情をしていたが、これは彼の芸風なので信じるわけにはいかなかった。ファーストセットでリードしながらブレークバックを許したときは嫌な予感がしたが、深いプレースメントを続けて乗り切った。

バックハンドのダウン・ザ・ラインは決まるときは綺麗だが外す場面も多かった一方、クロスを相手から見て左隅の深いところに落とすコントロールは絶妙だった。相変わらずファーストサービスのパーセンテージは低いので、ここがこの大会からローランギャロスにかけての課題となるだろう。

西岡良仁はマドリードに続いてラッキールーザーとして本選入りを果たしたが、フクソービッチに敗れてしまった。根本的には予選を勝ち上がれていない状況なので、ランキングを上げるのはなかなか難しい状況だ。いずれにしても5/30に開幕するローランギャロスに向け、WOWOW観戦の体制を準備しておこう。

【浦沢直樹】あさドラ!(5)

さすが浦沢直樹だ。壮大なストーリーを見せつつ、同時並行で進むサイドストーリー的な話を挟む手法は、まさに米国ドラマ。切り替えが早く、それぞれの展開に興味が募って次に何が起こるかが気になってしまう。本編では浅田アサが慣れない夜間飛行で「アレ」に立ち向かえば、ヨネちゃんとミヤコちゃんはそれぞれに女子的なイベントに巻き込まれる。そして、おっちゃんときぬよさんが脇をしっかりと固める。

ポン・ジュノが絶賛しているという話もあるので、ハリウッド映画かNetflixあたりのミニシリーズで撮って欲しいものだ。ストーリーは骨太だし、ゴジラへのオマージュも感じられるので、米国はじめ全世界でも十分に通用するのではないだろうか。変に日本色を出そうとしたり、日本映画にありがちな絶叫、慟哭、過剰演技に走らない限りは期待が持てる。その場合は、ぜひ浦沢本人に音楽の選曲も担当してもらいたい。

この作品は、序盤こそ先の流れが読めずにモヤモヤさせられたものだが、方向性が見えてからのドライブ感は格別だ。登場人物のキャラも十分に立っているので、読みながら誰かと誰かを取り違えてしまうようなこともない。安心して、次巻を待っていることにしよう。

【湘南―大分】ゲームプランの破綻

ハイプレスを仕掛けてくることは十分にわかっていたはずだし、実際そういう展開になったこのゲーム。大分は前半にシュート0という救いようのない内容だったのだが、その根源は間違いなくゲームプランにあった。

湘南のハイプレスをはがしてサイドに展開、あるいは長沢に当てるポストプレーを想定していたのだろうが、サイドを塞がれた上に長沢は孤立してしまった。これは、ビルドアップで相手をはがせず、苦し紛れに前に蹴っていたからだ。長沢からDFラインまでは距離があり、小林裕紀はDFに下がっていたから中盤のインサイドは下田と町田。ここのところ得点能力を示している町田だが、彼のパス能力を生かしたい気持ちはわからないでもない。しかし、長沢をポストにするならサポートが重要なのに、渡邊も長沢の近くにはポジションを取っておらず、結局長沢がサイドに流れて相手DFを密集させるので、さらにサイドが詰まってしまったのだ。

幸いなことにハーフタイムで修正はできたのだが、サブに入っているメンバーも「先制逃げ切り」を想定したかのような顔ぶれ。屋敷の突破力も髙澤のパワーも生かす場面すら作れず、攻め上がったエンリケトレヴィザンの裏をウェリントンに使われ、古巣対戦で投入されたようにも見える高山がなす術もなく決められた。

コロナ陽性と濃厚接触者の計3名が誰かを探るつもりもないが、7連戦の最後のゲームでこのメンバーがベストなのだとしたら、この先も不安でしかない。ゲームプランの破綻は監督の責任が大きい。片野坂監督はいつものように自分の責任だというコメントを残すだろうが、事実彼の責任なのだ。そして、今日の彼の失態に、僕は本当に失望した。

【春バラ】東京さくらトラム荒川遊園地前

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この時期の密かな楽しみは、都電の線路脇に並ぶ色とりどりのバラの花。専用軌道の部分なので撮影もしやすく、都電とのコラボも写せます。今日は自転車で、ここから尾久の原公園~荒川サイクリングロードを回って1時間ほどのポタリングでした。ちょっと日差しが強かったので、バラの花が光ってしまって苦労しましたが…

【ルヴァン杯】大分―徳島

大分トリニータにとって、現時点でベストのメンバーを揃えるべきはリーグ戦。その意味では、ルヴァンカップは調整もしくはテストの位置づけでも構わない。ただ、今日のゲームは序盤でもっと差をつけられたにも関わらずフィニッシュが伴わず、結局最後はセットプレーで押し込まれてしまった。エンリケトレヴィザンとペレイラが重なって、結果的にカカをフリーにしてしまったようにも見えたが、カカを褒めるべき場面だろう。

そんな中、将来に向けた大いに期待させてくれたのが屋敷だ。相手を2~3人まとめて抜き去るドリブルや寄せられても跳ねのけるフィジカルコンタクトによって、何度もスペクタクルなシーンを見せてくれた。弓場の視野の広さも優れたものがあり、大分の育成プログラムは相変わらず機能していることが認識できた。

個人的には、観客に「捨てゲーム」のように見えてしまう戦い方は好きではない。前にも書いたと思うが、かつて大宮に5点取られた石崎監督時代の大分が、選手交代を1枚を使わずに終える試合を見たことがあり、非常に不快だった。前半1-0とした時点で坂と渡邉を下げたのは、それに近い空気が感じられていやな気分にさせられた。クロージングに行って失敗したともいえるし、追いつかれた場合にリトリートするカードが残っていないということでもある。

いずれにしても、今日のゲームの価値は湘南戦の結果で決まる。コロナ陽性による戦力ダウンも想定される中、ここは将来ではなく足元の現実のために勝ち点3だけを追い求めてもらいたい。