【映画】15時17分、パリ行き

アムステルダムからパリに向かう特急タリスで実際に起こった銃乱射事件を題材にした映画で、クリント・イーストウッドが監督を務めた作品。アメリカ人の2人の軍人アレクとスペンサー、そして彼らの友人で大学生のアンソニーは、それぞれ本人が演じている。つまり、銃撃犯を取り押さえた3人が、ヨーロッパ旅行の末にタリスで事件に遭遇するまでをドキュメンタリーのように追っている映画だ。

素人を3人も主役級にキャスティングするのは冒険のはずだが、過剰な演出をせず自然な流れで事実を追っているので、演技の違和感はまったくない。最後はヒーロー礼賛の雰囲気も漂うのだが、それもあくまで実録ベースで捉えているので、見ているものに押し付けられる印象がないのはポジティブに評価できる。逆に言うと、映画作品としてお金を払って見ていることを前提にすると、展開が物足りないということになってしまうのだろう。

軍隊での訓練やキリスト教系の学校での教育が伏線になっており、彼らの心理やとっさの犯人との対決での行動に意味づけがなされている。子供の頃に同級生からはいじめられ、教師からはADHD扱いされていた彼らが成し遂げた人道的な貢献に、見終わった後にはほどよい高揚感が得られることだろう。