【映画】キングコング:髑髏島の巨神

台北から成田に向かうJALの機内で見た「キングコング:髑髏島の巨神」は、いろいろなことを詰め込み過ぎて焦点がぼけてしまった印象だった。そもそも、エピローグとして描かれる日本兵と米兵の戦いからして極めてステロタイプで、サミュエル・L・ジャクソンなどアフリカン・アメリカンやアジア系の描き方に悪意を感じた。また、髑髏島の現地人に起用した俳優の選択やおじぎするところも、白人至上主義的に見えてしまったのは穿ち過ぎだろうか。

ストーリーや生物の声、容姿なども「ゴジラ」や「キル・ビル」など過去の映画のオマージュかと思うくらい「どこかで見覚え(聞き覚え)」のあるものだった。キングコングは、とてもアクロバティックな動きを見せる一方で人間味あふれる表情になるなど、キャラクター設定がはっきりしなかった。

そして何よりも、主演のトム・ヒドルストンが「ナイト・マネージャー」のジョナサン・パインに見えてしまって、ずっと違和感を引きずることになった。どの作品でも似たような演技をしてしまう俳優は、一度強い印象のキャラを演じてしまうと脱却するのに苦労する。これは、その典型のように感じる。全編的に、感情移入しにくい作品であることは確かだ。