【映画】スターウォーズ/ スカイウォーカーの夜明け

エピソード9はあえて劇場では見ずに、配信を待っていた。この作品で長い叙事詩に幕が落とされたのだが、結局フォースとダークサイドは単純に1か0かという話ではないということだった。人間は誰しも、いわゆる「善」と「悪」の両面を持っている。タイミングと状況によって、どうバランスを取って表出するかというだけのことにすぎない。そもそも「善」も「悪」も、絶対的なものではない。例えば、正義のために自分の命を犠牲にすることは「善」のように見えるが、価値観次第では「悪」でしかないのだ。

SNSの浸透によって、ある特定の正義が絶対視されたり、同調圧力が働く場面が増えたとされる。しかし、意図したかどうかは別として、どんなことでも誰かの行動には意味がある。「悪」の行為にも、それなりのロジックが働いているということで、それが「悪」であるのは価値観との相対だ。Twitterで自分のツイートにポジティブなコメントしかつかないのは、ネガティブな意見の人はそもそもそのツイートを目にしないし、したとしてもスルーするから。決して、そのツイートの考え方が絶対的に正しいからではないのだ。カイロ・レンとレイの終盤のやり取りはそのことを描いているのだと思うが、ややステレオタイプな見せ方だったことは残念だ。

亡くなってしまったキャリー・フィッシャーの場面にCGを多用するのは仕方ないが、全体的に細かいアイテムへのこだわり、例えば汚れのようなものが、本作では省略されていたような気がする。衣装や装置のようなオスカーが狙えるジャンルに資金を集中して、メリハリをつけたということだろうか。それはそれでアリだが、物足りなさがあったことも事実。スターウォーズファンとしてはランドの登場もうれしかったが、途中で「エンドアの近くで」という台詞があって期待を抱かせておいて、終盤にイウォークを出してくれたことが一番の収穫だった。