【映画】スパイダーマン:ホームカミング

スパイダーマンの魅力は、近所にいる普通の男がヒーローになるという設定なのだが、この作品を見てもうひとつの面白さを発見した。それは、それなりにではあるが科学に沿った展開をしているところだ。スタテン島行きのフェリーが割れるシーンでは、スパイダーマンは転覆を防ごうと的確な方向と角度で船を支える。そして、アイアンマンも同様に船を立て直した後に、溶接してつなげてしまうのだ。日本の特撮ならマジカルパワーで一瞬にして元通りにしてしまいそうなところを、物理や化学の法則に従っているところがアメリカらしいとも言える。

ピーター・パーカーの設定は15歳だが、演じるトム・ホランドの実年齢はこの時点で21歳。彼が憧れる先輩のリズ役のローラ・ハリアーに至っては27歳だ。ハリー・ポッターシリーズの終盤もかなり年齢が乖離してしまったが、無理に取り繕うとはせず、ある意味開き直って制作しているところは潔い。しょせんフィクションなので、強烈な違和感を持たない程度であれば、小細工は必要ないということなのだろう。

本作でのちょっとした一言が、次作の「ファー・フロム・ホーム」への伏線になっている。この日は2作品を通して見たので、そのことが非常にわかりやすかった。2時間を少し超えるくらいの長さなので、この2作品を続けてみることをお勧めしたいところだ。