【映画】ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション

ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」を見た第一印象は、このシリーズはこんなにコメディタッチだっただろうかということだった。イーサン・ハントの仲間たちが一流スパイというより街のチンピラ仲間という雰囲気だったことは、トム・クルーズを目立たせる効果しかなかったのではないだろうか。

英国首相しか解除できないセキュリティシステム「レッドボックス」やモロッコの施設の水路に侵入する場面、オペラ舞台の裏側など仕掛けとしては面白いものの、いかにもとってつけたような予定調和な展開では、スパイ映画ならではのワクワクドキドキが味わえない。何よりも物足りなかったのは、この点だろう。

小さなヤマをつなげながら見る者の興味を引っ張る手法は、J.J.エイブラムスならではというところか。それは裏返せば、終盤の盛り上がりに欠けるということ。風呂敷を広げるだけ広げて回収しない悪い癖は出なかったが、このシリーズに求められていることをあえて裏切ったとはいえるかもしれない。