【東レPPO】奈良くるみラストマッチ

シングルスでは東レPPO本選出場を果せなかった奈良くるみの現役最後の試合は、土居美咲と組んでのダブルス1回戦となった。サムソノワとケニンに対して悪い内容ではなかったものの、ラリーで先にミスしてしまう展開が続き、2-6 4-6のストレートで敗れてしまった。リラックスしてプレーするサムソノワとケニンに対し、ラストマッチへの思いが垣間見える土居と奈良は、それがかえって仇になってしまったのかもしれない。

敗戦が決まると、涙をぬぐうかのような様子もあったものの、笑顔で試合を振り返る二人にホッとさせられた。有明コロシアムのショーコートには、ダブルスにしては多い観客が集まり、その光景を温かく見守っていた。勝利者インタビューが結果的にカットされた形で引退セレモニーに移り、奈良は「みっちゃんと最後にプレーできて幸せ」という内容のコメントを残したが、その「みっちゃん」とは土居美咲のことだ。

花束を抱えた加藤未唯をはじめ、青山、柴原、本玉、日比野、二宮、穂積ら女子選手がコートで奈良に別れを告げる。そして、そこに上地結衣まで登場したのだから、とても豪華なラインナップとなった。セレモニーの進行はかなりグダグダで、試合の勝利者ペアには申し訳ないような流れになってしまったが、長年日本の女子テニス界を支えてきた奈良への惜別の時間なので、赦してもらいたいところだ。奈良さん、お疲れさま!

【東レPPO】大坂なおみ―サヴィル

8年前の東レPPO予選でタウンゼントとの試合を観戦して以来、この選手に注目している。当時はロシア国籍のガブリロワだったが、オーストラリアに移り、結婚もしてサヴィルとしてプレーしている「ダーシャ」は、愛犬「トーフ」や天然系なノリの画像をインスタに上げているので、彼女のインスタアカウントもフォローしている。

そんなダーシャがなおみちゃんと1回戦で対戦することが決まり、センターコートの第5試合なので会社を少し早く上がれば感染できると思い、急遽チケットを手配。有明コロシアムには前の試合、内藤祐希とハダッドマイアの第2セットがはじまる直前に到着した。長いゲームの多いこの二人の試合は、最後にハダッドマイアがギアを上げてサーブで押し切って勝つと、いよいよダーシャとなおみちゃんの登場だ。

いきなり最初のサーブを真正面くらいの位置のネットにかける大坂だったが、フットワークは悪くなさそうで、まずはサービスゲームをキープ。サヴィルもサーブはそれほどよくなさそうながら、浅くなった大坂のショットを逆クロスで見事に返す。ところが、その瞬間、サヴィルの悲鳴が聞こえた。膝をひねってしまったようで、その場に崩れ落ちるサヴィル。反射的にベンチに戻ってタオルを手にしてサヴィルをいたわる大坂。拍手であおることなく、静かに見守る有明の観客。長い治療の後に立ち上がってチェックしたものの、結局ここでのリタイアが決まった。

8000円のチケットで短い時間しか観戦できなかったとはいえ、ハプニングも含めていろいろなものを目にすることができたので、結婚満足している。サーブの際にボールをつくときの音やシューズがフロアをこする音など、ライブ観戦でなければ味わえない感覚がそこにはあった。大坂には復活して欲しいし、サヴィルには早くケガを治してほしいという気持ちを持ちながら、テニス観戦の楽しさを来月の楽天オープンに続けよう。

【エリザベス女王】国葬

伝統を感じさせる長い、そしてゆったりとした進行の国葬ウェストミンスター寺院で執り行われた。チャールズ新国王をはじめとする英王室を中心に、各国元首クラスが並ぶ中、カンタベリー大主教ウィンザー司教といった英国教会の重鎮が説教を行ない一方で、新首相のリズ・トラスも存在感を示していた。

ウェストミンスター寺院の高い天井に、荘厳なミサ曲が響く様子は圧巻。この式のために書かれた曲も含まれており、国歌やバグパイプで英国らしさも加えながら進行すると、棺はバッキンガム宮殿脇からハイドパークへ運ばれ、そこからはナンバープレートのないジャガーの霊柩車でウィンザー城への移送された。式では、最前列の参加者が持っていた紙を落とすというハプニングもあったが、棺を8人で担ぐといった人力による部分も含め大過なく無事に進行した。

バッキンガム宮殿前は、即位70周年のジュビリーを祝った場所。ここでクイーン+アダム・ランパードが演奏し、ウィンザー城からサー・エルトン・ジョンが映像を届けたのは、この日に向けた序章でしかなかったのかと感慨にふける瞬間だった。スコットランドからの長い旅を終え、ウィンザー城に到着したエリザベス女王と関わったすべての関係者にお疲れさまでしたと伝えたい。めんどうな伝統は忌避されるが、このような思い出を彩ることには少なからぬ意味があるはずだ。

【映画】アイ・ケイム・バイ

それなりに面白い映画ではあるものの、見終わっての充実感がまったくない作品だった。展開としては、とにかく主要人物があっさり死んでしまう。きっと重要なファクターを担っているのだろうと思ってみていると、すぐに殺されてしまって以降は触れられることもない。目先の展開を追ってゆくだけで、伏線が張られているわけでもなく、深みが決定的に不足しているのだ。これだけのキャストを使う予算があるのだから、監督次第で作品は大きく変わったのではないかと思うと残念だ。

主演はジョージ・マッケイという扱いで、確かに彼の演技は素晴らしかったのだが、作品として最も重要な役柄を演じていたのはヒュー・ボネヴィルだろう。「ダウントン・アビー」でのグランサム伯爵の印象が強いが、嫌な感じの元判事という色を絶妙に醸し出していた。「マーダー・イン・ザ・ファースト」の検事シレッティを演じたカリー・グレアムにも似た感じの演技だったが、悪役であることが一目瞭然でわかりやすい。

忍び込んだ犯罪現場にグラフィティを残すという設定だが、あれだけていねいな作品をわざわざ残すということが、早く逃亡したいというモチベーションが働くはずの侵入者に可能なものかと考えると、設定に無理があるようにしか思えない。「リーガル・ウォール」に描かれたミューラルのように法的に問題のない作品ならまだしも、公共物に描かれたグラフィティの質が低いように、アーティストにとっては「逃げる」ことが前提なのだ。このあたりのリアリティ感の不足も、深みが不足している一因だろう。

【金沢―大分】メンバー選択の功罪

終盤の猛攻で2点差を追いついてのドロー。昇格争いの中で勝ち点3を逃したことは非常に痛いのだが、こんな内容での追い上げを見せてくれればプロスポーツとしては上出来だ。ペレイラと弓場のゴールではあるが、金崎や梅崎、伊佐、伊東、呉屋もそれぞれ個性を生かしたプレーを披露してくれたので、全員でつかんだ勝ち点1だと胸を張ってよいと思う。

それにしても、なぜ序盤のような落ち付かない展開になってしまったのか。確かに選手のレベルは、多少入れ替えても大きく落ちることはないくらい層が厚くなった。しかし、やはり連携とかポジショニングという部分は、多くの時間を過ごしていないとなかなかハマらない。序盤の守備ではエドゥアルド・ネットのポジションが高く、全体的にボールサイドに寄ってしまう傾向が見られた。金沢の2点目はDFが自陣右サイドに引っ張られてしまい、空いた左サイドを中盤の選手が埋めたものの、寄せが甘かったために隙間をきれいに抜かれてしまった。伊東がボールを前に出さなかったことも、リズムを崩す要因になっていたといってよいだろう。

そんな状態を変えたのは、ここ数試合出続けていた続けていた続けていた弓場と梅崎。やはり微妙な連携のズレが修正できれば、これだけパフォーマンスが違ってくるのだ。この執念と勢いは絶対に無駄にはならないし、してはいけない。甲府に対してバストパフォーマンスを見せた上で、長崎と横浜FCという最大の山場に臨みたい。

【ドラマ】Face to Face ―尋問― シーズン1

1話実質20分強、登場人物はほぼ「娘を失った刑事」と「その尋問相手」というコロナ禍だからこそともいえる独特な編成。しかも、その刑事は強引で傲慢な上に、弱い相手には強く出るくせに強い相手には追及が緩むという、とても感情移入できないタイプ。最初のうちは、いつ「切る」かという意識で見ていた。

ところが、扱うテーマの本質の深さに気づくと、展開に引き込まれてゆく。これは「尋問」という体裁を取りながらも、実は刑事が娘と向き合う時間だったのだ。本人とは疎遠で、意図的に遠ざけてきた過去。そして娘の死因も、少なからず父の存在が影響を与えている。それらの事実が、徐々に刑事を追い詰めてしまう。ある意味「24」のような時間軸でもあり、一晩のうちに進行するところもスリリングだ。

デンマークドラマではおなじみの顔ぶれも登場する。「コペンハーゲン」ではテレビ局のデスクを演じたセーアン・メリングや「コペンハーゲン」「ハウス・オブ・カード」に出演したラース・ミケルセンも、いかにもな役柄で好演しているので、何となく親近感が湧いてくる。北欧ドラマは、米国と違って「笑い」を取ろうとする部分が少ないし、必要以上に男女関係を前面に出すこともないので、展開に集中できて一気見したくなってしまう。今回も、全8話をあっという間に見終わってしまった。

【オンラインツアー】パースを巡る全3回

Veltraの全3回のパースを起点としたオンラインツアーは、西オーストラリア州の協賛ということで無料での催行。メルボルンシドニーケアンズと違って、あまり情報のないパースの様々な風景を見ることができて、とても楽しめました。第1回はパースから船で1時間程度の沖合にあるロットネスト島で、クオッカを探す旅。クオッカはワラビーの仲間で、その表情から「世界一幸せな動物」と呼ばれているそうです。

そして、第2回はパース市内。ヨーロッパ風の建築もあれば、海に面した観光スポットもあり、人も多くないのでゆったりな楽しめそうな雰囲気です。無料のバスが走っているようなので、観光にも便利ですね。ただ、郊外まで行かないと、それほど見どころは多くないのかもしれません。

そして、第3回はワイルドフラワーを楽しむキングスパークのライブツアーに加え、「ワイルドフラワーロード」を南北に移動してリースフラワーや様々なオーキッドを巡る録画映像もあり、その中ではキャンプ場でオリオン座をはじめ星がきれいに見える南半球の夜空も映っていました。ドローンを駆使して編集された映像は、ライブではないものの、なかなか見応えがありました。

これらが全部無料だったので、それもうれしいですね。もう少し世界が落ち着いたら、シンガポール経由あたりの経路でパースを訪れてみたいものです。