【ドラマ】Face to Face ―尋問― シーズン1

1話実質20分強、登場人物はほぼ「娘を失った刑事」と「その尋問相手」というコロナ禍だからこそともいえる独特な編成。しかも、その刑事は強引で傲慢な上に、弱い相手には強く出るくせに強い相手には追及が緩むという、とても感情移入できないタイプ。最初のうちは、いつ「切る」かという意識で見ていた。

ところが、扱うテーマの本質の深さに気づくと、展開に引き込まれてゆく。これは「尋問」という体裁を取りながらも、実は刑事が娘と向き合う時間だったのだ。本人とは疎遠で、意図的に遠ざけてきた過去。そして娘の死因も、少なからず父の存在が影響を与えている。それらの事実が、徐々に刑事を追い詰めてしまう。ある意味「24」のような時間軸でもあり、一晩のうちに進行するところもスリリングだ。

デンマークドラマではおなじみの顔ぶれも登場する。「コペンハーゲン」ではテレビ局のデスクを演じたセーアン・メリングや「コペンハーゲン」「ハウス・オブ・カード」に出演したラース・ミケルセンも、いかにもな役柄で好演しているので、何となく親近感が湧いてくる。北欧ドラマは、米国と違って「笑い」を取ろうとする部分が少ないし、必要以上に男女関係を前面に出すこともないので、展開に集中できて一気見したくなってしまう。今回も、全8話をあっという間に見終わってしまった。