【映画】ピノキオ

結構毒を含んだ原作を、いい感じのエンターテイメントに仕立てたのは、さすがにディズニーの力だろうか。ピノキオは悪気のない形で悪いことをしてしまう「世間知らず」というポジショニングを与えられる一方で、登場する他のキャラクターたちは生きるために必死という時代感を纏うことで、現実味がありながらネガティブな印象に走りすぎないバランスを保っていた。

トム・ハンクスは、もともと表情やちょっとした動きで見せる名優だという印象があるが、本作でもその延長線上の演技。多くをを語るわけでも、派手なアクションがあるわけでもないのに、しっかりと存在感を残している。ピノキオというファンタジーの世界観にあって、現実世界の感覚をあそこまで違和感なく盛り込めたのは、やはりトム・ハンクスならではだ。

105分というランニングタイムなので、あっという間に終わってしまう。エピソードも削ぎ落され、無駄のない構成になってはいるのだが、そのせいでやや淡泊な記憶しか残らない。見ている間は楽しめるのだが、見終わってから何が、どの場面がよかったかと問われても、答が見つからない。そういう意味では、やはりこれはトム・ハンクスの演技をじっくり見る作品なのかもしれない。

【大宮―大分】相手のペースにハマる

前線からプレスを掛ける、バタバタした展開のサッカー。正直なところ、見ていてあまり面白くない。大分は先制されながら逆転したものの、結局自分たちのペースをつかめずにうまく守られてしまった印象がある。前半の中盤あたりは、しっかりゲームを落ちつけようとしていたのだが、その後は連戦の疲れもあってかペースが落ちてしまった。

追いつかれたゴールも梅崎の判断ミスによるもので、連戦の影響があったのだろう。これに対処するためにハーフタイムで呉屋を投入してしまったがために、勝負どころがぼやけてしまった。また、増山が前がかりになることで金崎と再三ポジションが被ってしまい、チャンスをつぶしたのは何とももったいない話だ。どうせエドゥアルド・ネットを投入するのなら、もう少し早いタイミングで入れておけばという気もする。攻め手がつかめない上に、サイドからの攻撃が機能していたのだから、弓場を引っ張る必然性はなかったはずだ。

これで自動昇格の可能性は、ほぼついえた。プレーオフを有利に戦える位置まで順位を上げるという意味で、4位は十分に射程圏内だ。しかし、一方で下に落ちる可能性も低くはないのだから、次の金沢には確実に勝つとともに、仙台との得失点差も確実に縮めておきたいところだ。

 

【ストリートアート】マーティン・ワトソン

渋谷パルコの壁に描かれたマーティン・ワトソンのミューラル。細かすぎて何が何だかわかりにくいですが、真ん中にダイバーがいて、モチーフの海を潜行している感じでしょうか。彼の作品を見るのは久しぶりなので、何となく懐かしい雰囲気になりました。

【渋谷ランチ】Baby Hotdog Cafe

新しいお店なので一度行ってみよう、程度の気持ちであまり期待もせずに訪れた「Baby Hotdog Cafe」。オーダーしたSaltのホットドッグを一口たへて、ソーセージのおいしさに魅了されました。このソーセージはオリジナルとのことですが、とてもジューシーです。食べ終わって「ソーセージ、おいしかったですよ」と声を掛けたら、「ホンマですか?」とうれしそうに反応してくれたのも好印象です。

【USオープン】女子シングルス決勝

ウィンブルドンの決勝で敗れた雪辱を果たしたいであろうジャバーは、序盤から動きが硬かった。いきなりシフィオンテクが3ゲームを連取したあたりでは一方的な展開を予想したが、ここからブレークバックでジャバーが少し盛り返す。しかし、アジリティの高さはシフィオンテク。動き出しが早く、思い切りがよいので、決まったかに思えるジャバーのショットがことごとく返ってくる。この点は、男子シングルス準決勝のアルカラスとティアフォーの試合を思わせた。こちらはお互いにコートカバレッジが広く、どこに打ってもなかなかポイントにならなかった。いまの時代のテニスは、アジリティの勝負なのかもしれない。

ファーストセットを比較的苦労せずに奪ったシフィオンテクが、セカンドセットも同じように3ゲームを連取。しかし、ジャバーはここから粘った。渾身のダウン・ザ・ラインを要所で決めると、シフィオンテクのエラーの数も徐々に増えてくる。自分のペースを保っていたかに思えたシフィオンテクだが、セカンドセット終盤はどちらに転んでもおかしくない展開だった。

プレー中はテニスに集中し、自分を信じてプレーを続けているように見えたシフィオンテクも、優勝スピーチでは興奮を抑え切れないといった様相で表情を輝かせていた。一方のジャバーも、ジョークを交えたスピーチからセレモニーを通してリラックスした表情が見られ、試合中のファイターの要素は姿をひそめていた。このふたりの対戦は、しばらく名勝負を生みそうな気がするので、注目しておきたい。そしてジャバーがグランドスラムの優勝トロフィーを掲げる日も、決して遠くはないだろう。優勝おめでとう、イガ!

【映画】ソー:ラブ&サンダー

序盤は妙に思わせぶりな展開なのに、中盤はダレまくり。そして終盤にもう一度何とか締め直して終わったという感じの作品だった。世代交代が続くMCUの中で、ソーが誰に継承するのか。「ラブ&サンダー」とは何を指すのか。それらの疑問には答えてくれたものの、理由付けというか納得感はイマイチで、何となく釈然としない形になっているように感じた。ジェーンがマイティ・ソーになることでダイバーシティインクルージョンを表現しつつ、オーディエンスに継承先を迷わせる意図もあったのかもしれない。

それにしても、マット・デイモンメリッサ・マッカーシーをあんな形で使うところはさすがにマーベルとしか言い様がないが、驚いたのはラッセル・クロウの使い方だ。「この役を、よく受けたな…」としか言えないクロウの演技と台詞は、体形と合わせてハマっているからこそ笑ってしまう。ゼウスはギリシア神話では最高の神という位置づけなのに、この描き方では宗教差別と言われても仕方ないのではないか。「小籠包の神」はピクサー作品がネタ元のようだが、異文化のパロディはタイカ・ワイティティらしくない気がする。

オープニングから全編を通してガンズがフィーチャーされていて、ロックなテイストを漂わせていたのは感覚的にはうれしいのだが、これも理由付けがないので納得感は得られなかった。そして、一番気になるのはソーの背中に掘られた「RIP Loki」というタトゥー。ソーが弟ロキを思う気持ちの表れだが、このユニバースでは死んでいるロキが別のバースとの絡みで今後このシリーズに登場することはあるのだろうか。あるからこその、このタトゥーだと思うのだが…

【大分―仙台】2つの型がハマった勝利

前半はサムエルをターゲットに、梅崎と町田は下がってボールに絡み、弓場が攻め上がって隙を狙っていた。これでチャンスは多く作っていたのだが、そこには盲点がある。梅崎と町田がゴールから遠い位置でプレーするためにサムエルにマークが集中してしまい、前をサポートする弓場も仕留める選手ではないのでなかなか思うような型が作れないままに時間が過ぎた。

そして、後半15分を過ぎたあたりで金崎と呉屋を投入し、明確な2トップに変更した。これによって中盤は薄くなったが、その代わりにゴール前での迫力が倍増することになった。得点シーンも金崎に当てたボールを井上に預け、クロスに弓場がつぶれた後方で呉屋が合わせた。弓場がシュートを打つのではなくつぶれ役になったことで、決定力のある呉屋にチャンスが回る。これを決めるのがFWの仕事なのだ。2つの型を使い分け、結果的にこれが奏功しての勝利だと言ってよいだろう。

仙台は大分にとってやりにくい相手ではないと思っていたが、攻撃の迫力不足は深刻だ。終盤に1点を追いながらクロスが上げられないのは、昨季の悪い時に大分を見ているようだった。恐らくは自信喪失が根底にあるのだろう。それに引き換え、大分は守備に関しても自信を持って対処できている。今日は坂の足がつっていたために不安も見え隠れしたのだが、それさえなければ非常に安定していた。これで3連勝だが、いずれもウノゼロでの勝利。これはここからの苦しい戦いの中で、大きな自信になるはずだ。