【USオープン】女子シングルス決勝

ウィンブルドンの決勝で敗れた雪辱を果たしたいであろうジャバーは、序盤から動きが硬かった。いきなりシフィオンテクが3ゲームを連取したあたりでは一方的な展開を予想したが、ここからブレークバックでジャバーが少し盛り返す。しかし、アジリティの高さはシフィオンテク。動き出しが早く、思い切りがよいので、決まったかに思えるジャバーのショットがことごとく返ってくる。この点は、男子シングルス準決勝のアルカラスとティアフォーの試合を思わせた。こちらはお互いにコートカバレッジが広く、どこに打ってもなかなかポイントにならなかった。いまの時代のテニスは、アジリティの勝負なのかもしれない。

ファーストセットを比較的苦労せずに奪ったシフィオンテクが、セカンドセットも同じように3ゲームを連取。しかし、ジャバーはここから粘った。渾身のダウン・ザ・ラインを要所で決めると、シフィオンテクのエラーの数も徐々に増えてくる。自分のペースを保っていたかに思えたシフィオンテクだが、セカンドセット終盤はどちらに転んでもおかしくない展開だった。

プレー中はテニスに集中し、自分を信じてプレーを続けているように見えたシフィオンテクも、優勝スピーチでは興奮を抑え切れないといった様相で表情を輝かせていた。一方のジャバーも、ジョークを交えたスピーチからセレモニーを通してリラックスした表情が見られ、試合中のファイターの要素は姿をひそめていた。このふたりの対戦は、しばらく名勝負を生みそうな気がするので、注目しておきたい。そしてジャバーがグランドスラムの優勝トロフィーを掲げる日も、決して遠くはないだろう。優勝おめでとう、イガ!