【映画】ソー:ラブ&サンダー

序盤は妙に思わせぶりな展開なのに、中盤はダレまくり。そして終盤にもう一度何とか締め直して終わったという感じの作品だった。世代交代が続くMCUの中で、ソーが誰に継承するのか。「ラブ&サンダー」とは何を指すのか。それらの疑問には答えてくれたものの、理由付けというか納得感はイマイチで、何となく釈然としない形になっているように感じた。ジェーンがマイティ・ソーになることでダイバーシティインクルージョンを表現しつつ、オーディエンスに継承先を迷わせる意図もあったのかもしれない。

それにしても、マット・デイモンメリッサ・マッカーシーをあんな形で使うところはさすがにマーベルとしか言い様がないが、驚いたのはラッセル・クロウの使い方だ。「この役を、よく受けたな…」としか言えないクロウの演技と台詞は、体形と合わせてハマっているからこそ笑ってしまう。ゼウスはギリシア神話では最高の神という位置づけなのに、この描き方では宗教差別と言われても仕方ないのではないか。「小籠包の神」はピクサー作品がネタ元のようだが、異文化のパロディはタイカ・ワイティティらしくない気がする。

オープニングから全編を通してガンズがフィーチャーされていて、ロックなテイストを漂わせていたのは感覚的にはうれしいのだが、これも理由付けがないので納得感は得られなかった。そして、一番気になるのはソーの背中に掘られた「RIP Loki」というタトゥー。ソーが弟ロキを思う気持ちの表れだが、このユニバースでは死んでいるロキが別のバースとの絡みで今後このシリーズに登場することはあるのだろうか。あるからこその、このタトゥーだと思うのだが…