【代表-J選抜】カズが救った

チームとグループの違いは、目的が共有されているかどうかだ。その意味で日本代表はチームだったが、Jリーグ選抜は良い選手が揃っていながらチームにはなれていなかった。パスの出し手は、受け手の動きや意図が見えていなければチャンスが作れない。コンディションもよくなかったのだろう。突然の震災で試合も練習も予定通りにならない環境では、それも致し方ない。

本来はキリンチャレンジとしてモンテネグロ代表とニュージーランド代表を迎えるはずだった。チャリティマッチとしての開催に変更になったものの、ニュージーランドは結局来日しなかった。会場を長居に移して「復興支援試合」として行うというスタンスは素晴らしいが、代表の強化にもならず、観客も楽しめないのではどうしようもない。前半に代表が2点を挙げ、J選抜の小野も小笠原も精彩を欠いた。ザッケローニが控えメンバーを次々とピッチに送り出したとき、この試合の興味は失われていたのだ。

そんな状況を救ったのは、やはりあの男だった。現役にこだわり、代表への未練を隠そうともしないカズこと三浦知良ベガルタ仙台の関口もいいプレーを見せてくれたが、やはりそこは役者としての格が違った。カズのゴールがあったからこそ、このゲームが無駄ではないと言い切れる。ドーハの悲劇を味わい、フランス大会のメンバーから外されても、カズは何かを持っている。輝きは失われてはいなかった!