【ラグビーワールドカップ】アルゼンチン―ニュージーランド

準決勝の第1試合は、一方的な結果に終わった。前半だけ見れば拮抗していたと言えなくもなく、後半にアルゼンチンがキックも交えてバックスで展開できれば逆転するチャンスは、小さいながらもゼロではなかったように思う。その意味でも、前半終了間際に40分を過ぎたラストプレーで奪われたトライは痛かった。後半立ち上がりのトライも同様だが、密集の間隙を縫うように突破するテクニックは並大抵のものではない。

序盤からアルゼンチンはスクラムを支配され、反則を繰り返してしまった。ラックやモールにも人を割かざるを得ず、その分ラインの人数が減ってオープンなエリアを作ってしまったことが最大の敗因だろう。

ニュージーランドのパス連携で注目すべきは、出し手と受け手の意思疎通。サッカーでもオフサイドラインの裏を取る選手にタイミングよくパスを出せば大きなチャンスになるが、ラグビーの場合は後方から勢いをつけて飛び込んでくるLOやFLにSHからタイミングよくボールが出れば、陣地を大きくゲインすることができる。これをやられては、守備側としては中をケアするしかないのだ。

アルゼンチンは最初から強敵ニュージーランドを意識してしまい、キックも使うことができなかった。最初の得点はアルゼンチンのPGによるものだが、その少し前の場面でDGを狙って決めていたら、アルゼンチンの自信につながって展開も違うものになっていたかもしれない。良いチームなのに、なす術もなく敗れてしまったことが残念だ。