【東アジア選手権】中国戦の位置づけ

僕がサッカー日本代表の監督だったとしたら、ワールドカップイヤーを迎えてのシーズンオフに開催されるこの大会に対しては、次のように対処するだろう。まず、当然ながらマスコミと国民・サポーターに向けては「優勝を目指す」と言う。しかし、それはあくまで体裁を整えるための方便で、実際は選手に「ケガしないようなプレー」を指示する。

中国にスコアレスドローという結果を受けて、岡田監督解任だの、目標のベスト4とはアジアでのことかだのと近視眼的な批判がすでに出始めている。しかし、ピークをもっていくべきはワールドカップ本大会なのだ。この時期に手の内を見せる必要も、義理もない。タイトルのかかった公式戦ではあるが、中国戦と香港戦は選手とシステムの見極めに使い、韓国戦で本大会へ向けたシミュレーションをすればよい。

その意味で、この試合からわかったことも多い。まず、楢崎は十分コンディションが戻っている。右サイドの内田を囮にして、長友の左サイドから崩す攻撃は効果的。そして、大久保は相変わらずイエローカードをもらう可能性を考慮しなければ使えない。もうひとつ、ベネズエラ戦に続いてこの試合も、審判の質は決して高くなかった。これらを戦術に取り入れ、またリスク分散するのは監督だけの仕事ではない。ビジネスと強化の二兎を追おうとしている日本サッカー協会会長も、間違いなく当事者なのだ。