【フランス-スペイン】花より実で勝利

フランスらしくない、地味な試合運びだった。華麗なパスサッカーではなく、守りから入るスタイルはフランスの持つ魅力ではなかった。しかし、今のメンバーを考えると、これしか彼らの勝ち残る道はなかったのかもしれない。中盤のマケレレヴィエラは、そのためには欠かせない駒だった。そしてアンリは囮になる。リベリーの決めた同点ゴールのシーンで、アンリはオフサイドポジションで「関与していない」とばかりに手を振って歩いていた。その横をリベリーは、あっという間にすり抜ける。

代表引退を宣言したジダンのみならず、チュラムもマケレレヴィルトールバルテズも次回はないだろう。今回だって、若手が育って彼らを追い出していなければいけなかったのだから。フランスはこれで過去の遺産をくいつぶした。

さてスペインはどうだろうか。カシージャスやレイナ、シャビ、フェルナンドトーレス…みんなちょうど脂の乗り切った時期に南アフリカ大会を迎えるだろう。過去の遺産もなく、若手も起用しなかった我らが日本代表のやるべきことは、あまりにも多い。

では、フランスは優勝できるだろうか。それほど甘くはないと思う。フランスが最高に輝いていたのは96年の欧州選手権で、もう10年も前の話だ。決勝がイングランド対アルゼンチンという垂涎のカードになる可能性は、低くはないと思う。