準決勝は2試合ともディフェンスの勝負となり、守りの堅いチームが勝ち残るという結果になった。フランスのセンターバックはチュラムとギャラス。このふたりには、意外な共通点がある。チュラムは優勝したフランス大会では右サイドを務めていたが、センターバックがやりたくて仕方がなかった。そしてギャラスはかつてマルセイユやチェルシーで左サイドを担当していたが、彼もセンター志望だったのだ。そんなふたりのコンビは、水を得た魚のように躍動する。
ボランチのマケレレとヴィエラも守備能力が高く、そう簡単には崩せない。フィーゴとクリスティアーノ・ロナウドを使ってサイドは攻めようとしても、リベリーとマルーダが高い位置をキープするので、裏を使わせたくない。ポルトガルは、そして攻め手を失う。
PKを与えたシーンのリカルド・カルバーリョは、残念ながら明らかなファウルだった。そしてジダンにゴールの左隅の一番遠いところに蹴られては、いかに名手リカルドといえども届くはずもない。
終盤にまるでアイスホッケーのようにGKを上げ続けたポルトガルの執念は大したものだが、後半30分過ぎにバルテズが判断よく弾いたボールに詰めたフィーゴのヘッドがクロスバーを越えた瞬間に、実はポルトガルのツキは使い果たされていたのかもしれない。
決勝はEURO2000の再現となり、イタリアとフランスが激突する。6年前は後半の土壇場で追いついたフランスが延長にトレゼゲのゴールで勝っている。このときに負けないような熱戦を期待してもよさそうだ。