【ブラジル-フランス】職人対タレント

1点を争う好ゲームとなったこの試合、僕の本職である人事の観点からも、チームを作る上でのヒントが得られたように思う。ブラジルは、有名どころを揃えたオールマイティなタレントの集団。対するフランスは、伝統の4-5-1を構成するそれぞれのポジションのスペシャリストを集めた。名前だけ見ればリベリーマルーダに凄みは感じないし、「アンリとジダンのチーム」にも見える。しかし内容を見れば、このゲームの鍵はリベリーマルーダサニョルアビダルがからむサイドの攻防で、ブラジルを圧倒したことである。ご存知の通りジーコもブラジル的なタレント集団で戦い、結果は出せなかった。

カフーもロベルトカルロスも年齢的な影響で、疲れがたまっていたのかもしれない。サイドがダメならセンターもダメで、ロナウドのコンディションはやはり完全ではなかったようだ。中盤でマケレレヴィエラがボールを奪い、ジダンが難しいトラップをやすやすと決めてキープしパスを出す。

攻めは、いつものフランスだった。アンリが囮になってサイドの選手がチャンスを作る。そして、ここぞという場面では、涼しい顔をしたアンリがいとも簡単にゴールを決める。決勝点となったFKからのゴールも、ファーサイドでフリーになってのワンタッチ。いかにもアンリらしい、フランスらしい勝ち方だ。

もう1試合は、イングランドが消えてしまった。ルーニーのあのレッドは不幸としか言いようがないが、PKのひとりめに今大会不調でリズムをつかめていないランパードを使ったことで、流れを逃がしたように思う。僕なら、ジェラードかテリーを使ったことだろう。120分+PK戦でのハーグリーブスの貢献には、涙が出そうだった。