【東京国立近代美術館】藤田嗣治の全所蔵作品展示

竹橋の東京国立近代美術館の常設展「MOMATコレクション」では、藤田嗣治の全所蔵作品を展示しています。レオナール・フジタこと藤田嗣治は大正期に渡仏した洋画家で、パリでモディリアーニピカソらと親交もあり、晩年はフランスに帰化しています。

藤田といえば、パリのエスプリと素描の輪郭線を大事にした浮世絵の影響を感じる作風と思っていましたが、多く展示された戦争画に衝撃を受けます。陸軍美術協会理事長という立場上から国威発揚を意識しながらも、暗い色彩で表される戦争の悲惨さや兵士の悲壮な決意が、ストレートに伝わってきます。「十二月八日の真珠湾」という作品では、シンプルながら裏に秘めた画家の思いがよくわかりました。

ルソーや東山魁夷奈良美智村上隆なども楽しめ、430円にしては満足度の高い展示でした。常設展にしては混んでいるともいえますが、それほど人が多くないので、ゆっくり作品を味わえます。