【レンブラント展】モノクロを経た彩色

国立西洋美術館の「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」は、震災後の閉館を経てこの週末から再開しています。上野公園は動物園を含め多くの施設が稼動していないため、西美はかなり混雑していました。展覧会に慣れていないのか音声ガイドの影響なのか、一列に番号順に鑑賞している人が圧倒的に多かったのは違和感がありましたが…

この展覧会はサブタイトルにも表れているように、まず油彩の「アトリエの画家」を見せることでレンブラントの「光を象徴的に用いているアプローチ」を意識させた上で、モノクロの世界へ誘います。レンブラントが多くの作品を残したエッチングは、銅板に刻まれた線によって濃淡を表現します。デッサンもそうですが、黒の濃淡だけで表現する手法にこだわったからこそ、「闇」を作ることによって「光」を生み出す描写が明確になったのだと感じました。

そしてエッチングばかりで食傷気味になったところで、彩色が施された数少ない油彩の作品を効果的に見せつけるのです。特に「書斎のミネルヴァ」で扱われた戦いと知恵の女神ミネルヴァの肌を白く輝かされる「光」に、レンブラントの真髄を見た気がしました。これもこの展覧会の構成の素晴らしさによるものですし、この視点を持った上でもう一度アムステルダム国立美術館所蔵の「夜警」を鑑賞してみたいと思いました。

http://www.ntv.co.jp/rembrandt/