【ドガ展】パステル画の魅惑

土曜日に台風が接近する中を、みなとみらいの横浜美術館までドガ展を鑑賞に出掛けました。この美術館は広いので圧迫感もないし、少しぐらい人が多くても気になりません。会期が長いということもあってか、この日も決して混雑している印象ではありませんでした。

ドガには「バレリーナフェチ」という称号を勝手に与えていた僕ですが、この展覧会を見て若干イメージが変わりました。彼はバレリーナ自体への興味もあったのでしょうが、女性の肌に浮かぶ筋肉や脂肪の凹凸や滑らかな雰囲気を描きたかったのではないでしょうか。入浴後の女性を描いたものとバレリーナの絵に共通しているのは、顔の綺麗さではなく体の曲線です。表情は乏しく、決して美しい部類には入らないモデルを扱っているのに、対象に向けられた思いを感じたのです。

表現方法にも驚きがありました。光の加減を絶妙に描いた名作「エトワール」には圧倒的な存在感がありありますが、これを始めとする絵画の多くが油彩ではなくパステルなのです。当たり前のように油彩だと思っていただけに、パステルで表現された色彩には感動しますね。表情よりも肌の感じを描きたかったからこそ、油彩ではなくパステルなのでしょう。また、彫塑だと思っていた作品が、ロウを素材とした彫刻を原型として鋳造したものと知り、こちらにも驚きました。

思わず目を惹くような作品は多くない展覧会ですが、このような視点を持って回ってみると、これまでとは違う魅力が見えてくるかもしれませんよ。

http://www.degas2010.com/