【ドラマ】エンド・オブ・サマー

スウェーデンの田舎町で起きた家族を巡る悲劇の物語は、北欧らしい自然であるがゆえに、かえって深い悲しみを招く事態に陥ってしまう。最終的にこんな結末が待っているとは、途中で錯綜する怪しい登場人物たちの言動もあって、なかなか読み切れなかった。予告編と序盤の映像を見る限り、もっとファンタジーやSFの要素が強いのかと思っていたが、純粋にサスペンスの範疇だ。

Viaplay作品の傾向でもあるが、深いメッセージを含む重厚な作りになっていて、とっつき難い反面、世界観には没入できる。家族を守るために、他人を犠牲にすることは厭わない。そして、その家族愛は向けられた家族自身にも受け入れられず、かえって傷つけてしまう。そして、そんな悲劇を乗り越えて、また新たに愛すべき人の許に帰る。シンプルだが、ありがちで思い当たる節がくららでもありそうなストーリーに、視聴者は自身の過去を重ねることになるだろう。

失踪した少年ではないかと思われるイーサクを演じたエリク・エンゲは、序盤の無垢なイメージが徐々に毒を孕み始め、最終的にはかなり邪悪なキャラクターに変貌する演じ分けが実に見事。設定と演出と演技が連動して、うまくハマったからこその出来栄えと言えそうだ。