【ドラマ】犯罪分析官ハリファックス:歪んだ天罰

メルボルンを舞台に、連続銃撃犯を追う分析官の姿が描かれるオーストラリア製作のドラマ。銃撃事件は市内中心部で起き、その描写は非常にリアルで派手な作りになっている。ただ、それは銃撃事件が続いているのに、市民が危機意識を持たずに楽しんでいるということもあり、設定としての嘘臭さは拭えない。主人公の家族が妙にキラキラした、オーストラリアらしい自由さを謳歌しているように見える点と合わせ、北欧ドラマに似ているという印象を受けた。

序盤はローラーコースター的な展開で、怪しい人物が次々に登場する。犯人の動機もわからず、複数のプロットが複雑に絡みながら終盤に向かうのだが、ラストはやや拍子抜けしたような結末を迎える。もう少しシンプルな構造にして、登場人物の心理に向き合った方が骨太な作品に仕上がっただろうと思うと、物足りなさが残る後味の悪さだった。面白くないわけではないのだが、くすぶった思いが残ってしまうという点では「LOST」と似ている。

俳優の演技をじっくり見せる感じではなく、主演男優かと思われたアンソニー・ラバリアはほとんど活躍するシーンがない。一方で、主人公ハリファックスの娘の生みの母であるマンディを演じたクローディア・カーヴァンの怪演は印象的だ。ナルシシストで嘘を平気でつけるクセの強い女性を見事に演じていたが、こんな人物は自分の身の回りにいてもおかしくないので、その意味で怖さすら感じたほどだ。WOWOW版では全8話だが、一気に見た方がわかりやすいだろう。