【プラハOP】日比野菜緒―ノスコワ

長い長い戦いだった。予選から出場して敗れながら、ラッキールーザーとして本戦出場を果たした日比野菜緒は、準決勝に進出した。土曜日に行われるはずのクリスチャンとの試合は雨で何度も開始時間が変更になった挙句、結局順延に。そして日曜日も雨で開始が遅れた上に中断を経て、セットオールのファイナルセット終盤から月曜日に再開というスケジュールになった。

再開された準決勝をあっさり勝ち、短いレストを挟んですぐに決勝をノスコワと戦うことになる日比野の表情は、徐々に疲労がにじんできたように見えた。そしてこの決勝もまた雨で中断。日比野が一気に押しかけたところでの中断だったが、この後にダブルス決勝も待っている日比野には不思議なほどの落ち着きがあり、中断明けには表情も再び彼女らしい明るさが戻っていた。回転を変え、プレースメントも巧みに変化させて相手のミスを誘う日比野のペースにハマり、最後はノスコワのダブルフォルトで日比野がツアー3勝目を挙げた。

日比野は一時かなり落ち込んで悩んでいる時期があったようで、引退すら考えたとブログで語っていた。そんな彼女が見事に復活し、つかんだ栄光だった。勝った瞬間は放心したように脱力していたが、セレモニーのスピーチではおそらく準備して頭に叩き込んでいたであろう言葉をひとつずつ思い起こしながら、喜びをかみしめているようだった。そして今は、まさにダブルス決勝でセットダウンから追いついたところ。単複制覇も、視野に入ってきたところだ。おめでとう、日比野菜緒!