【ドラマ】ウィッチャー シーズン1

予備知識をまったく持たずに見始めたのだが、とにかく時系列がわかりにくい。基本的には魔法剣士であるリヴィアのゲラルトと魔法使いのイェネファー、シントラ王国の王家の娘シリの3人を追うプロットが、最後にはひとつに収束してゆくという展開(シーズン1では、収束し切るところまではいかない)。しかも、時系列を行きつ戻りつで、つながり方も予測しにくいという、見る側にとってはストレスフルな構成だ。

序盤に感じた「吹き替えの合わなさ」は、慣れるに従って徐々に気にならなくはなるが、それでもときおり違和感を覚えてしまう。主人公ゲラルトは余計なことを口にせず、淡々と無表情にしているキャラクターなのだが、吹き替えは「ブル」の東地宏樹でコミカルな要素が得意な声優だ。無理に押し殺したような発声には、慣れるまでに時間がかかる。イェネファーも、緊迫感のある場面で無理に作ったような声に聞こえることがあり、いったん気になると連鎖してしまうので、気にしないで済むならその方がよさそうだ。

ゲーム・オブ・スローンズ」を意識したような作りが随所に見られ、設定上の仕掛けも似通っている。まあ、いわゆる時代劇には「お約束」があるものだが、それを踏襲しただけという以上に「ゲーム~」の色を感じる。人形劇の一座や弓矢で若いキャラクターが殺害される場面など、パロディにすら見えてしまうほどだ。ただ、二番煎じという以上にはオリジナリティもあり、満足度は低くない。イェネファーが出自の要素を捨て変化する場面の描写も素晴らしいが、その前後での演じ分け、あるいはメイク等による見せ方の差別化が絶妙すぎる。アーニャ・シャロトラの演技は必見だ。