【ドラマ】ストレンジャー・シングス S4 E8~9

2話を残して中断し、「お預け」状態だったStranger Thingsのシーズン4がついに完結した。ヴェクナに変容した「ONE」ことヘンリーを、イレブン、マックス、エディ、ホッパーがそれぞれ中心となって別々の場所から裏側の世界にいるヴェクナに対峙する。このコンテキストを理解するのは簡単ではないが、映像もストーリーも素晴らしく充実した2話だった。8話が80分を超えた時点で驚いていたのだが、9話はなんと140分。このエピソードだけで、十分に映画1作並のボリューム感だ。

イレブンは寡黙であるだけに、見た目の印象も地味になってしまったことと合わせて、やや存在感が薄まってしまった。ただ、その分、マックスやナンシーらの充実の演技で、じっくり見せる内容になっている。個人的には、ナンシーを演じるナタリア・ダイアーの表情と台詞回しが一番印象に残った。ただ、好きなキャラクターであるエリカの吹き替えがコメディ対応なので、終盤のエリカが重要な役割をこなす場面に似つかわしくない声だったことが残念だ。

そして、本作を特徴づけているのは80年代音楽を効果的に使っていること。ケイト・ブッシュはすでに語られているが、ジャーニーの「セパレイト・ウェイズ」の使い方などは、リミックスも含めて見事としか言い様がない。その場面に合う曲を、その場面に合うように使うからこそであって、日本のドラマのように経費を抑えるためのコラボ曲や安易な創作では作品にプラスアルファの厚みをもたらすことはできないのだ。

マックスの意識が戻らず、ホーキンスが大地震で黒煙が上がったままの状態でシーズン4は終わった。最終となるシーズン5で、どんな展開が用意されているかがとても楽しみだ。役者たちも年を取っているし、ミリー・ボビー・ブラウンはボンジョヴィの息子との交際で話題になってしまってはいるので、多少設定に無理が生じるかもしれないが、そもそもがSFなので世界感には浸らせてもらえるだろう。