【女子ワールドカップ】日本―コスタリカ

ピッチを広く使って長めのパスでビルドアップする。そのパスのスピードは遅すぎず早すぎず、トラップされたボールは次のプレーに向けたポジションに置かれ、攻守の切り替えもスムーズ。やろうとしているサッカーは、東京オリンピックと大きく変わっているようには見えないが、選手たちが自信を持ってプレーできているところが唯一の相違点のように見受けられた。

その意味で、高倉麻子にできなかったことで、池田太にできていることがあるとしたら、それは選手のモチベーションマネジメントなのではないだろうか。実際のところを僕が知る由もないが、東京オリンピックに向けて積み上げてきたものは、確実に今のなでしこジャパンに生かされているように思うのだ。その間に選手たちは世界に戦いの場を移して経験を積んできた。しかし、一方で清水は長谷川、田中美南のプレーを見る限りは、やっているサッカー自体が2016年頃のベレーザを体現しているようにも見える。籾木や隅田も含め、あのパス回しは魅力的だった。

清水梨紗の初ゴールが結果的に藤野に阻まれてしまったのは残念だが、前半のうちに2点取ったことは大きかった。どちらもDFとGKの間にクロスを入れるというプロトタイプではない形だが、思ったより前でプレーしていた猶本のファーを狙ったシュートも素晴らしく、そして藤野の角度のないところからニアを抜いたシュートも秀逸だ。長野や遠藤を休ませるとともに、層の厚さも示してくれたので、ノックアウトステージに向けても大いに期待しよう。