【ウィンブルドン】アルカラス―ジョコビッチ

ファーストセットの状況を見て、アルカラスの勝利は望めそうもないと思い、そのまま寝てしまった。翌朝、起きて結果を先に知って驚き、その後にWOWOWの録画で男子シングルス決勝を見返すことになった。ファーストセットのアルカラスは何だったのかと思うように躍動するアルカラスと、一歩も譲らないと応じるジョコビッチの激しい攻防が続き、サードセットには25分という驚異的な時間をかけたゲームもあった。そして、そのゲームでアルカラスが2つ目のブレークを奪うと、完全に流れが来たようにも見えた。

しかし、これで終わらないのがジョコビッチ。フォースセットを奪い返してファイナルセットにもつれ込む。ジョコビッチという選手は、非常にきれいなスイングで芸術的なインパクト音を響かせる一方、自信過剰で常に自分が勝つと確信しているところがある。それが彼をふるい立たせる原動力なのだとは思うが、見ている側からすると鼻について応援する気が失せてしまうのだ。この試合でも、アルカラスのポイントに観客は狂喜していたが、ただ、ジョコビッチを鼓舞する声援も決して少なくはなかったようだ。

ラケットをポストに叩きつけて破壊したり、相変わらず時間をかけたサービスでタイムバイオレーションを取られたり、そして長いトイレットブレークを取ってみたり。いろいろ手を尽くして流れを取り戻そうとしたジョコビッチではあるが、それは奏功しなかった。最後のジョコビッチのショットがネットにかかると、アルカラスは芝生に倒れ込み、喜びをかみしめた。英語でのインタビューは彼にとって苦痛だったことだろうが、そんなことは言っていられないくらいの喜びだったことだろう。芝の大会が生涯で4つ目という今年のウィンブルドンで、しっかり結果を残した若き王者は、新たな時代を牽引する役割を担うことになる。