アニメ【推しの子】

キャラクター業界としては、証券会社が株価に影響し得る作品にフォーカスを当てようとすることもあって、カタリスト扱いされているこの作品に興味があった。「鬼滅の刃」以降、「呪術回戦」や「SPY×FAMILY」などが同様の位置づけとされていたが、【推しの子】はジャンル的にもかなり遠い存在だ。第1話が映画並みに長いことだけは知っていたが、アニメ化権取得の戦術だという声もある中、プロローグとなるこのパートの扱いに苦慮した結果なのだろうと感じた。

この作品を特長づけるのは、その設定。母をストーカーに殺害された双子の兄に、同じく殺害された産婦人科医が転生して、母殺しの犯人を追うというもの。しかし、第2話以降の「本編」では、サスペンス要素よりもアイドル養成ゲーム、あるいは業界の裏話的な要素が強い。アニメ好きのいわゆるオタク層にリーチするためには、サスペンスよりもこれらの色を強める必要があったのだろう。キャラクターを揃えて商品化で収益を得るにも、この方向性は必然だったということだ。それがために、第1話でプロローグを見せ切ってしまう必要があり、82分という尺を用意することになったと理解した。

登場するキャラクターは、いかにもアニメにありがちなラインナップ。ただ、個人的にはその中で有馬かなに注目した。演技派の子役としてのキャリアからアイドルに転じる設定で、冷徹なものの見方ができることで皮肉屋という立ち位置になっている。実際に学校のクラスにもいそうな気がするが、僕が気になってしまうタイプなのだ。ビジュアルも含め、ちょっと気になっている。