【映画】フレッシュ

静かでスタイリッシュな序盤から、ホラー、スリラー、スプラッタという展開に引きずり込まれる本作は、心の準備をしてから見ないと「食当たり」を起こすこと間違いなしだ。タイトルの「フレッシュ」は"fresh"なのだが、"flesh"の意味も含めて複数の意味を持たせているのだろう。そのあたりを探りながら見るのも、面白いかもしれない。

本作の見どころは、何と言ってもセバスチャン・スタンの多彩な演技力。ウィンター・ソルジャーの寡黙で陰気な雰囲気とはうって変わって、女性をたぶらかす笑顔やトークがハマっている。こんな男性とスーパーで出会って声をかけられたら、そりゃノアじゃなくても誘いに乗ってしまいたくなるだろう。こんな一面を隠して、実質100歳超のバッキーを演じていたことを考えれば、いきいきと演技しているセバスチャンの姿にもうなずけるし、好感が持てる。

主演女優のデイジーエドガー・ジョーンズは地味目な役作りをしているせいか、パッとしない印象もあるが、逆に華やかな一面を抑えているという意味でセバスチャンとは対照的。僕は彼女の出演作は初めてだったので、そのあたりを理解することはできなかったのだが… 終盤で彼女を助けに来たはずの友人ポールが恐れをなして帰ってしまったように見えるので、ノアたちがどのように現場から帰ってきたのかが描かれず、ちょっと消化不良な気もした。