【Netflix】ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ

Netflixで配信が始まった「Woman in the Window」は、映画と演劇のハイブリッドのような作品だ。登場人物は少なく、舞台となる場所も限られるので、セットを組んで転換するだけでもできそうなほど。撮り方も、人物全員が視聴者に見えるように配慮されたリアリティのない立ち方をさせるなど、実に芝居のような雰囲気なのだ。僕は日本映画の特徴として、場面設定や役者の演技が演劇的だということがあって、その根源には舞台育ちの演出や演技があるのではないかと感じている。その意味で、このような作品が日本で撮れていないことは残念だ。

本作は、コロナ禍で劇場公開を断念したディズニーが、強いホラー要素のためにDisney+では配信せずNetflixに売却したという経緯がある。確かに、サスペンスというよりはホラーの要素が目立つが、この部分こそ映画ならではであって、舞台ではなかなか表現できないだろう。いろいろなメディアで、本作のヒッチコックの「裏窓」へのオマージュが語られているが、ヒッチコックの時代にはこのホラー感は実現しえなかったことだろう。展開もひねりが効いている一方で、上映時間は100分ほどなので集中を切らさずに楽しめる。

僕はこの作品から、もうひとつのオマージュというか、隠れたメッセージを感じたことがある。Disney+で最近配信された「ファルコン&ウィンターソルジャー」でファルコンを演じるアンソニー・マッキーが本作では主人公の夫として登場し、同じくキャプテン・アメリカを一時継承したジョン・ウォーカーを演じたワイアット・ラッセルが主人公の間借り人で出演している。「このふたりが出ているなら、バッキー(セバスチャン・スタン)がいないのは寂しい」と思っていたら、ワイアット・ラッセルが演じる人物の苗字がなんと「ウィンター」だった。原作では「ウィンターズ」なのだが、作中でも主人公アナが「この人はデビッド・ウィンターズよ」と証言する場面で、「いやウィンターだ」と否定させているので、明らかに「ファルコン~」を意識しているのだと思う。