【国立西洋美術館】ボルドー展

上野公園の国立西洋美術館で開催されている「ボルドー展」を訪れました。絵画展としては物足りないけれど、ボルドーという世界遺産の都市の位置づけがよくわかり、博物学的にはなかなか面白い展示です。「月の港(Port de la Lune)」という呼称は、この街にとてもよく合っているように思いました。

先史時代の展示から始まりますが、ラスコー洞窟や昨年訪れたスペインのネルハ洞窟を思わせる古代の壁画があり、サンチアゴ・デ・コンポステラへの巡礼路にある都市としてのワイン文化や、大西洋を向いた貿易港としての顔まで、ボルドーのいろいろな側面の理解が深まって訪れてみたくなりました。ドラクロワの「ライオン狩り」は火災による損傷の跡が痛々しく、かえって作品の貴重さを浮き彫りにしています。

絵画の物足りなさは、常設展に加わっているフェルメールの作とされる「聖プラクセディス」で十分に挽回してくれます。他にも常設展は見応えがありますが、この作品はやはり存在感が違います。