北浦和の埼玉県立近代美術館で開催されている「ピカソの陶芸」展を訪れました。北浦和公園は、ゴールデンウィークらしく寛いだ人たちが、それぞれに楽しんでいる雰囲気でした。美術館はそれほど混雑しておらず、静かな環境でゆっくり作品を鑑賞できます。
この展覧会で感じたのは、ピカソのプリミティブな本質。パリの街でよく見かけるソフィスティケイトされたフランスの色彩感覚と違い、素朴に対象に迫るスペインの美意識を感じます。特に平面ではなく「陶器」の持つ独特の曲線に描かれているために、ピカソの抽象が不思議に現実味を帯びるのです。
ラスコー洞窟はフランスにありますが、ピカソの描く闘牛はまるでこの壁画のよう。その意味ではフランスとスペインは隣り合っています。しかし、かつてナポレオンが言ったとされる「アフリカはピレネーからはじまる」という言葉もあるようにまったく価値観の異なる色彩感覚を分かつピレネー山脈の意味も厳然とあるのでしょう。
ちなみに、本展のチケット(画像)は、「ピカソの陶芸」を概観することのできる秀逸なデザインです。
http://www.pref.spec.ed.jp/momas/