【USオープン】錦織はチリッチに完敗

本当ににこやかな笑顔を湛えて登場したチリッチに対し、錦織圭の表情は硬かった。どうやら緊張で眠れなかったらしいが、グランドスラムのファイナルでランキング下位の選手と当たるのはやりにくかったことだろう。フェデラーが勝ち抜けていた方が、無心でチャレンジできたのではないか。

最初のゲームでブレイクポイントが来たが、これを錦織は逃してしまう。ここでブレイクしていたら、流れは間違いなく変わっていただろう。チリッチがサービスエースを面白いように決める一方で、錦織は狙ったコースにボールが飛ばない。しかもラケットのスイートスポットを外すショットも多く、試合中に2度もガットの張り替えをしていたほどだった。

第2セット中盤からの錦織は明らかに調子を上げていたが、それでもまったく揺るぎないほどにチリッチの出来がよかった。2セットダウンで迎えた第3セットもチリッチが優位に進めていたが、最後のヤマは第7ゲームに来た。錦織がブレイクポイントを3回握り、競りながらも最後はチリッチがキープ。後はもう、チャンスはなかった。

普段テニスを見ない人には6-3というスコアは一方的に映るのだろうが、これは1ゲームだけブレイクされたということで、接戦なのだ。ただ、結果以上に、内容では完敗だった。あのサーブを擁した上にあれだけ足が動いては、フェデラーも錦織も勝ち目はなかった。