【国立新美術館】貴婦人と一角獣展

乃木坂の国立新美術館で開催されている「貴婦人と一角獣展」。タピスリーがメインということで興味はあまりなかったのですが、展覧会のプロデュースをしている友人がFacebookで紹介していた内容に惹かれて、出掛ける気になったのです。

作品はパリの国立クリュニー中世美術からのもので、西暦1500年頃に製作された連作タピスリー、つまりは織物が目玉です。これは「五感=触覚、視覚、聴覚、味覚、嗅覚」をテーマにしたとされる5枚のタピスリーと「私の唯一の望み」という銘文が付けられた1枚からなりますが、6枚目の意味は謎と言われています。僕はこの6枚目の意味を、貴婦人のために青い天蓋をめくられているような図柄から「再生」と予想していました。手にした宝物は、「財」というよりも「生命」の象徴ではないかと考えたのです。

しかし、展覧会で実際に見た印象からは、「五感」とはつまりエンターテイメントであり、人間が「楽しみ」とするもののように思えました。そうなると6枚目は、物欲というか「所有する充実感」を感じる楽しみではないでしょうか。人は物を「持っている」という感覚で満足することができるし、それは特に富裕層になればなるほど満たされるはずなので「私の唯一の望み」となるのではないかと…

展示自体は広い空間に6枚が一望できるように配置されていて、とても触発的です。その空間を取り巻くように、情報を整理し学習する展示が巡らされているので、楽しみ方は人それぞれなのです。知的な謎解きの時間を、ぜひお楽しみください。

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