【告白】映画は原作を超えたか

湊かなえの原作を読んで衝撃を受けた「告白」が映画化され、WOWOWで昨日放映されました。松たか子主演でかなり話題になったものの、この手の日本映画にはあまり過大な期待はしないでおくのが僕の定石です。今回もやや斜めな目線で見ましたが、序盤のひとり語りから「映画」の特性を発揮できていないことが気になりました。

原作が独白というか、口語の書き物として綴られるだけに、設定を大きく変えるかそのまま行くかで映画の性格を決めてしまうはず。中島哲也監督は後者を選択しました。学級崩壊を暗示する生徒の反応が原作とのニュアンスを違いを浮き立たせる中、抑揚を抑えた松たか子の演技も浮いてしまっていました。見せ場は最後に一転して感情を込めて「ドカン」という擬音を発する場面ですが、聴覚的には効果的でも、主人公が本来持っている不気味なまでに抑えたキャラクターが台無しです。

講堂のシーンも、懲りすぎてかえって本題を薄れさせてしまいました。この映画の評価はかなり大きく分かれているようですが、僕の評価も「失敗作」に位置付けています。原作の持つ味を超えられずに、縛られてしまった感がありました。何よりも印象が悪いのは音楽です。「20世紀少年」もそうですが、最近の日本映画はあまりにも音楽を軽視しているような気がします。せっかくの原作を制約にせず、触発にできるとよいのですが…

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