【映画】ミッドナイト・スカイ

Netflixオリジナルのこの作品は、原作となっている「世界の終わりの天文台」が魅力的な話なのだということがよくわかる。しかし、映画化作品としてはどうだろうか。タイムラインが錯綜するのは常套手段だとしても、ファンタジー要素を多分に含んだ内容を、かなり現実に即した雰囲気で撮ってしまったように思えるのだ。宇宙船を描く場面ではファンタジーっぽく作っている工夫が見られるものの、北極のエピソードはもっと現実離れした映像の方がよかったのではないだろうか。

全般的に感じるのは、製作にも名前を連ねているジョージ・クルーニーの演技を見せることに重きを置いたスタンス。そして、その手法では映像が地味すぎるので、妙な宇宙船を作ってみたのではないか。クルーニーの抑えた演技が悪いというわけではないのだが、そこにこだわり過ぎる¥たがために作品のテーマがボケてしまったように感じる。宇宙船のクルーも地味で、ダイバーシティを過度に意識してしまっている。

このようなファンタジー要素のある作品なら、本来はアニメに向いているはず。「君の名は。」や「天気の子」にも通じる雰囲気のある原作だけに、新海誠作品としてアニメ化したら面白そうだ。アニメなら、必要以上にリアルに仕立てることがそもそも不可能なので、ちょうど良いバランスになるように思うのだ。