【映画版】20世紀少年<第1章>

ビッグコミック・スピリッツ連載時に毎週楽しみにして読んでいた、浦沢直樹原作のこの作品。映画版はキャスティングが凝っていて、原作のキャラクターの味をうまく残しているので興味津々でした。ただ、細部にまでこだわって描かれている原作をどう映画化してくれるのかという不安もあったし、日本以外の外国で日本の70年代のアイテムがどこまで理解されるのかとも思っていました。

さて、実際に鑑賞してみて、原作のストーリーを忠実に活かし、妙な設定変更がないところにまずホッとします。主人公ケンヂを演じる唐沢寿明の肩の力の抜け具合はまさにピッタリで、ちょっとトボけた雰囲気もいい味を醸しだしています。ただ、決定的に不満だったのは音楽。T・レックスの「20th Century Boy」などの名曲は別とすると、バックに流れる楽曲にはまったく存在感がありません。それ以外のパーツは、ハリウッド映画にも引けをとらない内容であるだけに、非常に残念です。

全般的な評価としては大変満足したのですが、原作を読んでいない人にとっては展開が速く、またアイテムが多すぎてつながりがわからなかったのではないでしょうか。例えば、竹中直人が演じるピエール一文字が「絶交」されるシーンは、ストーリー展開上は省くべきだったと思います。ただ、あえてこれを残したのは原作ファンに対する堤幸彦監督の配慮でしょうが… もう一点の不満は、最後に「第2章」の予告編を挿入したこと。あれで、芸術的にも意義高い作品が、商業べースに堕ちてしまいました。

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