【人事の話】メンタルヘルスとフラット組織

科学的に実証されたことではまったくないのですが、近年メンタルヘルス不全が増加の一途をたどっていることと、企業の組織がフラット化していることに因果関係を感じています。フラット化とは、つまり組織の階層が少なくなること。以前は部長、課長、係長といた組織が、今では部長の下に課長、係長を置かずに社員がいきなり配置されるようになってきているのです。

そんな環境で仕事をすると、どうなるでしょう。ひとりの上司が直接管理する部下の数が増え、場合によっては数十人の社員の労務管理や評価をしなければなりません。メンタルヘルスの兆候があったとしても、それを上司が発見するのはかなり困難でしょうね。

しかし、それ以上に問題なのは日常業務での「認知」なのです。社員は仕事をしたら、それを上司に「OK」をもらって完了します。途中経過で確認したり相談したりする中で、自分の社内での位置や役割を日々再認識しているのですよね。ところが、フラット化で上司がなかなかつかまらない、話をする機会がないとなると、仕事をしていても孤独感や孤立感を持ってしまうのです。正しい権限委譲ならよいのですが、権限委譲と言う名のもとに「放任」してしまうと、どうしてよいかわからなくなりますよね。

細かいことを言う上司は面倒臭いのも事実ですが、ある意味メンタルヘルス的には意味のあることなのかもしれません。そんな上司のストレスを愚痴を言い合って解消していたのは、正しいストレスマネジメントなのでしょうね。