【アマルフィ】ぼやけた焦点

フジテレビの開局50周年記念作品という位置づけの映画「アマルフィ 女神の報酬」は、それなりの充実感はあるとはいうものの、まだまだ改善する余地があったように思います。政治的背景が絡む誘拐とテロリズムという重いテーマながら、その扱いが中途半端なのです。この手のサスペンスに恋愛要素はよくあること。ところが織田裕二演じる外交官・黒田康作天海祐希演じる矢上紗江子のロマンスも、煮え切らないままでした。

キャスティングは、いたずらに豪華。チョイ役にまで人気のある俳優・女優陣を起用しています。矢上紗江子の娘を誘拐されてエキセントリックになる母の演技は秀逸だったのに、あっさりと平静を取り戻してしまったのが残念。光ったのは、感情をすぐに表情に出す見習い外交官を演じた戸田恵梨香でした。一番役に合っていなかったのは平田満で、とても外務大臣には見えませんね。

そうは言いながらも、全編緊張感がみなぎり、最後まで興味を持って見ることができる作品であることは評価できます。ローマやアマルフィの風景の美しさやサラ・ブライトマン本人の歌唱によるアリアなど、ディーテイルにも凝っています。原作は「ホワイトアウト」の真保裕一。彼はアンダーグラウンドな世界を描く印象が強いので、この作品ももっと泥臭く作ったら別の面白さがあったのではないでしょうか。

http://www.amalfi50.jp/index.html