【ドラマ】リトルドラマーガール

WOWOWで放送されたパク・チャヌク監督のドラマ「リトルドラマーガール 愛を演じるスパイ」を一気見。イスラエルパレスチナをめぐる諜報戦に、なぜか巻き込まれる英国人の若手小劇団女優という話だが、いわゆる英国の二枚舌外交がイスラエル建国とアラブとの対立を産んだという世界史の知識が活用できた。フセイン・メクマホン協定とバルフォア宣言を思い出したが、まさにバルフォアはこのストーリーにも重要な位置づけとなっていた。

全体的に演劇的な作りで、日本映画やフランス映画にも通じるけれど、それら以上に台詞に使われるプロットや言い回し、演出などがシェイクスピアの流れを受けた英国演劇を思わせた。演劇は虚構の世界。思想や宗教を信じることも、ある意味「役割を演じる」ことと同じであり、どちらが正しいかというよりも、そもそも正しさとは何かを問いかけるような作品だった。

ダブル・エージェントの話なので、わかりにくい部分は多々あるが、それを差し引いても深淵なテーマの世界にどっぷり浸ることができる。モサドイスラム原理主義、英国、ドイツ、それぞれの立場や文脈を読むだけでも、なかなか面白かった。