【ボン・ジョビ】らしくない名盤

ボン・ジョビの新譜「ロスト・ハイウェイ」は、名盤と言ってよいと思います。アルバム全体を通してコンセプトを感じるし、最初から最後まで淀みなく聴くことができます。日本では「アダルト・オリエンテッド・ロック(大人向けのロック)」の意味で使われる「AOR」の実の意味である「アルバム・オリエンテッド・ロック」として高いクオリティを誇っています。

タイトルチューンの"Lost Highway"や、シングルカットされたバラード"(You Want to) Make a Memory"にしても飛び切りの佳曲ではないけれど、外れのない12曲が詰め込まれているんです。これだけクオリティの高いAORのアルバムということなら、僕ならシカゴの「シカゴ17」と比較してしまいます。シカゴの作品は名プロデューサーとして名高いデヴィッド・フォスターによるものなので、アルバムトータルの完成度は僕としては最高点をつけています。

しかしながら、同時に不満なのです。なぜなら、ボン・ジョビらしいノリやシャウトがまったくないから。前作の「ハブ・ア・ナイス・デイ」もかなりマイルドな仕上がりながら、"Have a Nice Day"や"Last Man Standing"には彼ららしさを感じました。でも、本作にはそれがないのです。"Lost Highway"では"Hey, hey!"なんてノリで、他にもカントリーっぽい曲も複数あることを考えると、やはり彼らにとっては年齢相応な作品ということなのでしょうか。ボーカルトラックのキーを後から上げているようにも聞こえるので、あまり無い物ねだりをしてはいけないということなのかもしれません。

http://www.islandrecords.com/bonjovi/home.las