【アジアユース】U19日本代表、世界へ

ピッチへの入場を待つ青の戦士の映像には、雨の軌跡がはっきりと映っていた。対戦相手は砂漠の国、サウジアラビア。こうなれば日本優位と、僕は瞬間的に思った。そして試合開始。いきなり日本はチャンスを連続してつかむ。前半7分には、早くもセットプレーから河原がヘッドデ叩き込んで先制した。雨に慣れないプレイヤーにとって、滑る芝も、顔や目に降りかかる雨粒も気になって集中できないのは当然だと思った。

しかし、その後雨脚は目に見えて弱まっていく。それにつれて、サウジアラビアも勢いを見せ始めた。スタンドには、サウジの王族が買い占めて配布したチケットの効果か、ブーイングともつかないどよめきがあふれはじめていた。そして、サウジのセットプレー。ボールはゴールを逸れたはずなのに、なぜかサウジの選手がガッツポーズをしている。PKだった。あれがPKなら、その前にサウジのGKが得点機会阻止でイエローを出されたシーンは一発レッドだろう。

そして、後半もロスタイムに突入しようかという土壇場で、途中出場の青木が相手ディフェンダーの股を抜く豪快なシュート。あれではGKはボールが見えなかったことだろう。それから4分間のロスタイムは、梅崎のボールキープが効いた。ディフェンスラインをうまくコントロールした福元、最後の数分だけの出場ながらきっちり相手を挑発してイエローを出させた森重とともに、大分トリオは十分貢献していた。

さて、次の韓国戦でも余裕の戦いぶりを見せつけてほしい。このチームはこんなところで満足しているようではいけないのだ。