【人事の話】押す場面・引く場面

人事の仕事をしていると、社員に厳しいことを言わなければならない場面が少なからずあります。業績が伸びない社員と面談したり、場合によっては「キャリアプランを考え直してはどうか?」ということも言います。でも、僕は状況が厳しければ厳しいほど、強く押したりはしません。そういう社員は、口ではいろいろ言っていても、まったく自覚していないケースは稀だから。親身かどうかは別として、相手の立場からの視点で話をすると、結構本心を話してくれるものです。でも、前にも書いたけど「話せばわかる」なんて思ったら自分が裏切られるので、そこは一線を引いています。

押してうまくいった最近の例は、マーケティング部門の採用。オファーを出した候補者が、他社との競合でなかなか返事をくれなかったのです。エージェントからは何度も、回答期限の延期を求められていたのですが、こちらもそのたびに応じているのではかえって「採用する気」が示せない。そこで、エージェントに「こちらは本気で採用する意向なので、一度会って本人と話したい。天秤にかけられるような状況が続くなら、こちらも次の手を打つ」と押してみました。それからは、それまでの逡巡が嘘のように、あっという間に入社日が決まりました。

こういうことがうまくいけばいいけど、当然そうじゃないケースも多々あります。最近も激しく落ち込んだこともあるけど、「それが人事の仕事」と割り切るようにしています。