【人事の話】採用しない理由

求人に応募してきた人に会うのは、人事にとって重要な仕事のひとつです。採用する場合、次のステップに進んでもらう場合については、第一印象で決まってしまうケースも多いです。それは以前にも書きましたが、顔の良し悪しとか服装や化粧ということよりも、表情や相手に対する敬意や気配りが大きいです。コミュニケーションスキルが高い人は、相手に対して敬意を示すことができるし、自分の言いたいことがちゃんと伝わったかどうか確認するアンテナを張ることができます。面接官としてそれが感じられれば、入社しても上司や同僚とうまくやっていけると考えるわけです。

それでは、採用しない場合にはどうでしょうか。新聞広告やリクナビなどによる応募の方であれば、不採用の理由を明確にお伝えすることはまずありません。しかしながら、人材紹介会社経由の応募の場合は、ある程度はっきりとその理由を伝えることになります。そうすることによって、紹介会社との「欲しい人材」のスペックをすり合わせることができ、以降の紹介がスムースになるからです。

しかし、実際の採用ではそううまく運ぶものではないのです。政治的な判断が働くこともあるし、複数の面接官の評価が割れる場合もあります。社長や事業部長のようなトップが、理由もはっきりさせずに「この人は嫌だ」「雰囲気が合わない」「ウチには馴染まない」と落とすことも現実にはあるのです。そんな理由はもちろん伝えられないので、人事としてはそれなりの「採用しない理由」をこねくり回す場面も出てきます。伝え方を間違えると後の採用に悪い影響が出かねないですし、思いもしなかった反応を紹介会社や応募者から受けて驚くこともないわけではないのです。それだけに、いかに「採用しない理由」を見つけられるかも、人事担当者の重要なスキルだと言えるでしょう。