【Bon Jovi】Forever

ボン・ジョヴィのアルバム発売は4年ぶりだが、僕自身は「Lost Highway」以来の購入となった。ジョンの声が出なくなっているのはライブでも明白だったし、そんな中で音楽の傾向がカントリーに寄ったことで離れてしまっていた。先日Didney+で見たドキュメンタリー「Thank You, Goodnight」によって、ジョンの思いを理解できたので、久しぶりに聴いてみたくなったのだった。

アルバム「Forever」を通して聴いて、最初は「ハードロックにしては軽く、ポップスの要素が強い」という印象を受けた。しかし、繰り返し聴き込んでゆくうちに、ハードロクの片鱗が感じられたことで、彼らの現状と嗜好とマーケットを踏まえた最善の選択をしたのではないかと思えてきた。

それを感じたのが #3 "Living Proof"。イントロのギターがまさにハードロックなので期待を高めて曲が始まると、確かにハードではあるのだが何かが違う。その違和感はフレーズでもアレンジでもなく、音作りにあった。エフェクトのかけ方とか、ジョンの声の出し方がマイルドで、そこに強い意思を感じてしまったのだ。

#4 "Waves"も同様で、イントロのリフにはハードロックの常套的な要素が詰まっているのに、メロディが始まると一気におとなしくなってしまう。これらは、例えばジョンの声の限界など何らかの制限によって「仕方なくそうしている」とは思えず、「あえてそうしている」ように感じられる。

もはや"Livin' on a Prayer"や"You Give Love a Bad Name"のような音作りにする時代ではないし、ボン・ジョヴィ自身がそれを望んでいるわけでもない。そういうことなのではないかと思わされたということ。これが最後のアルバムになる可能性もそれなりに高いと思っているが、それも踏まえてじっくり聴き込んで行きたいと思っている。