【安藤証券オープン】柴原瑛菜―本玉真唯

安藤証券オープンはこれまでもITFの大会として有明で開催されていたが、インドアコートでの開催で、観戦はできるものの環境としては芳しくないものだった。今回は有明コロシアムを使用し、全日程無料で観戦できるということで、土曜日のシングルス準決勝を観戦した。

準決勝第1試合マディソン・イングリスとマ・イェシンのファイナルセット第4ゲームから観戦したが、この対戦は両者フラットな打ち合いが続き、マのパワフルなテニスをイングリスが何とかしのぐという展開だった。勝ったイングリスのオンコートインタビューで、意外に声がかわいらしいことに驚いた。ちなみに彼女はオーストラリアの選手だが、ダブルスでも同じパース出身のギブソンと組んで準決勝に進出していたものの、こちらは敗れてしまった。

その後に、車いすテニスのエキシビションとして、引退して日が浅い奈良くるみ森田あゆみ車いすの齋田悟司、餌取陽太とそれぞれ組んでのニューミックス。つなぎの時間のエキシビションなので、結局4ゲームほどで打ち切られてしまったが、車いすを操りながらのプレーが難しいことを選手とMCを務めた中澤吉裕さんが解説してくれ、非常に面白いイベントだった。

準決勝第2試合は、柴原瑛菜と本玉真唯の一戦。ふたりとも先日のビリージーンキングカップを日本代表として戦っており、シングルスが主戦場の本玉に、ダブルスプレーヤーとしてはローランギャロスのミックスで優勝経験のある柴原が挑んだ。パワーのあるテニスができる柴原とファイター本玉の対戦が意地のぶつかり合いになるだろうことは、容易に想像がついた。

ファーストセットは柴原が決め切れない場面が続き、あっさり本玉が奪う。柴原の決めに行ったショットがフォアもバックもことごとくワイドに外れており、特にフォアの逆クロスはどれも同じようにサイドアウトになっていた。

セカンドセットは立ち上がりの4ゲームを柴原が取り、完全に流れが変わったかと思いきや、ここから本玉が逆襲。一時は2ブレークダウンを追いついたが、結局柴原が7-5で振り切る。実力的には本玉の方が上に見えたが、波が激しいのも本玉で、勢いを失うとサーブも入れに行ってしまい、柴原のコースを狙ったウィナーの餌食になった。

ファイナルセットも4-0と柴原がリードし、本玉が逆襲モードに入ったものの、今度は柴原がその勢いをしっかり止めることに成功した。ふたりともポイントを得た際には「オイ!」と叫ぶが、今日は本玉の方が気合が入っていたせいか、本玉の「オイ!」は何度も響いていた。しかし終盤になると、闘志あふれるファイターの顔が隠れてしまい、安藤証券所属選手として決勝を逃してしまったのは本人も残念だったことだろう。ダブルフォルトで敗戦が決まったことも、本玉には悔やまれる。

シングルスのランキングを上げたい柴原にとっては大きなオポチュニティになっているので、ぜひこのまま優勝して100ポイントを獲得したいところだ。