【コミック】続テルマエ・ロマエ (1)

テルマエ・ロマエの終了から10年以上経って、突然書店で見かけた続編が気になって、迷わず購入してしまった。これは相変わらずローマ時代の温泉技師ルシウスが、時空をスリップして日本の温泉にやって来てしまう構成ではあるが、純粋なマンガではなく、1話ごとにライナーノーツのような解説がつけられている。

日本サイドでは弘法大師川端康成が登場し、あたかもマルチバースのように存在したかもしれないような場が設定される。一方のローマは、考証はある程度施されているものの、フィクション要素が強めだ。日本に実在する温泉の魅力を、古代ローマという舞台を借りて解き明かすというコンセプトなのだろう。

秋田の後生掛温泉や鹿児島の妙見石原荘など、その方面に通じていないと聞いたこともないような温泉が登場し、その成分や効能、温泉宿の作りや雰囲気までもが見事に語られる。読者が1巻を読み終わる頃には、温泉旅行に出掛けたい欲求がかなり高まっているはずだ。

そしてマンガのストーリーとしても、「平たい顔属」の妻さつきが去ってしまったルシウスが息子のマリウスを育てながら妻を思う続けるという設定になっており、これからの展開に期待できそうだ。長い構想期間を経ての続編なので、いろいろな仕掛けや伏線がどう収束してゆくのかを楽しみに2巻を待つことにしよう。