【U-23アジアカップ】UAE―日本

中2日の連戦の中で2戦目をしっかり勝ったという結果は、まず高く評価すべきだろう。選手たちにとっては、この試合の勝利は最終目的ではなく、あくまで通過点としてのマイルストーンのようだった。ここでアピールしてオリンピックの代表選考に残り、本大会で結果を残す。そこまで視野に入れていることは、DAZNの観戦でもはっきりと見て取れた。

攻撃のパスワークは素晴らしかった。いわゆる各駅停車で隣の選手にボールを回すのではなく、ピッチ全体に目を配ることができており、ひとり飛ばすパスを狙い、間にいる選手が迷わずスルーするあたりは、間違いなくチームとしての意思統一ができていた。それを仕切っていたのは山本理仁で、序盤は相手にきれいなパスを渡してしまいどうなることかと思ったが、その後はクロスにしても短いパスにしても効果的だった。

また、敵陣ゴール前の深い位置で、サイドから放り込むのではなく、明らかにコースを狙って低くて速いクロスを多用していたことは特筆すべきポイントだ。これは日本のストロングポイントであり、UAEにとっては空中戦よりもやりにくい選択肢だったことだろう。90分を通してボールを支配して押し込んでいたし、微妙な判定がどう転んでいたかによっては大差がついていてもおかしくない内容だった。

ただ、特に終盤のゴール前での決定力不足は気になるところ。最初から出ている選手が足に来るのは理解できるが、途中交代で投入された細谷がシュートを打ち切れないようでは、何のための起用なのかという話になってしまう。

もうひとつ指摘しておかなければならないのは、VARとオフサイドディレイの運用だ。大畑のオフサイドでゴールが取り消された場面で、あれだけ遡ったプレーをVARで検証してようやく判断が下されるということは、見ている者にとっても選手にとっても非常にわかりにくい。サッカーのいうスポーツの楽しみ方として、ライブ感とスリルを損ねる運用でしかないのではないか。これをスタンダードとしてしまうと、それだけの人員や設備を配置できない会場での試合は、完全に別物になってしまう。スポーツとして、視聴するエンターテイメントとして、厳密性を捨ててもよいのではないだろうか。